新型コロナに関する国の支援策のまとめ|中小企業編
新型コロナ(新型コロナウイルス感染症)に関して、中小企業が利用できる「国の支援策」をまとめました。
この記事で記載している内容の出所は、主に各省庁のホームページです。詳しくは該当のホームページを確認いただくか、お近くの商工会や商工会議所、よろず支援拠点等の支援団体にお問い合わせください。
なお、この記事で記載している新型コロナの支援策についてですが、2020年3月6日時点で確認できたもののみとなりますのでご注意ください(必要に応じ更新する予定です)。
1.経営相談窓口の設置
中小企業関連団体、支援機関、政府系金融機関等、全国1,050拠点に「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」が設置されており、経営相談、資金繰り対策に対応しています。
【主な相談内容の例】
・日本政策金融公庫の貸付制度、信用保証協会の保証制度の案内
・各相談窓口への案内
・雇用調整助成金の特例の案内
2.信用保証協会の融資
(1)セーフティネット保証4号
セーフティーネット保証4号とは、突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置です。
対象となる事業者
今回の新型コロナに関して特例が設けられているかもしれませんが、原則として、「所定の地域において1年間以上継続して事業を行っている事業者」が対象となります。したがって、 1年未満の事業者は対象外となる可能性があります。まずは、お近くの信用保証協会にご確認ください。
その他の要件
新型コロナの発生に起因して、原則、
①最近1か月間の売上高又は販売数量が前年同月に比して20%以上減少しており、
②かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること、
が要件となります。こちらの要件については、多くの事業者の方が該当すると思われます。
セーフティーネット保証4号の利用方法
本店等(個人事業主の方は主たる事業所)の所在地の市町村(またほ特別区)の担当課に申請書類を提出し、認定を受ける必要があります。一般的な流れとして、希望の金融機関または最寄りの信用保証協会にその認定書を持参のうえ、保証協会付き融資を申し込むこととなります。
支援内容
幅広い業種で影響が生じている地域について、一般枠とは別枠(最大2.8億円)で借入債務の100%を保証(売上高が前年同月比▲20%以上減少等の場合)
(2)セーフティネット保証5号
セーフティーネット保証5号とは、指定業種(全国的に業況の悪化している業種)に属する中小企業者を支援するための措置です。
指定業種
多くの業種が指定を受けていますが、念のためお近くの信用保証協会で確認しましょう。
対象となる事業者
次のイ、ロのいずれかの要件を満たすことについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者が対象です。
(イ)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者
(ロ)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者
セーフティーネット保証5号の利用方法
セーフティネット保証4号と同じです
支援内容
特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠(最大2.8億円、4号と同枠)で借入債務の80%を保証(売上高が前年同月比▲5%以上減少等の場合)
3.日本政策金融公庫の融資
(1)セーフティーネット貸付の要件が緩和
セーフティネット貸付とは、社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に売上の減少など業況悪化を来しているものの、中期的には、その業績が回復し、かつ発展することが見込まれる中小企業者の経営基盤の強化を支援するための融資制度です。
新型コロナの支援策として、セーフティネット貸付の要件を緩和し、売上高が5%以上減少といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象になります。
資金の使いみち
運転資金、設備資金
融資限度額
中小事業7.2億円、国民事業4,800万円
金利
基準金利:1%台(貸付期間・担保の有無等により変動)
(2)衛生環境激変対策特別貸付
衛生環境激変対策特別貸付とは、感染症または食中毒の発生による衛生環境の著しい変化に起因して、一時的な業況悪化から衛生水準の維持向上に著しい支障を来している生活衛生関係営業者の経営の安定を図るための特別貸付制度です。
利用対象者
新型コロナの発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む方であって、次のいずれにも該当する方
①最近1カ月間の売上高が前年または前々年の同期に比較して10%以上減少しており、かつ、今後も減少が見込まれること
②中長期的に業況が回復し発展することが見込まれること
資金の使いみち
運転資金
融資限度額
別枠1,000万円(旅館業は別枠3,000万円)
金利
基準金利:1~2%(貸付期間・担保の有無等により変動)
4.配慮要請
(1)金融機関への配慮要請
新型コロナの影響により、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることがないよう、政府系金融機関等に対して下記のような要請が行われています。政府系金融機関等に以下の配慮を要請しています。
【配慮要請の内容】
①適時適切な貸出
②返済猶予等の既往債務の条件変更 ‘
③企業の実績に応じた十分な対応
④セーフティネット貸付の活用(日本政策金融公庫および沖縄振興開発金融公庫に対して)
⑤年度末の資金繰りに万全を期すための要請
なお、民間金融機関に対しても、事業者への積極的な支援(事業者を訪問するなどの丁寧な経営相談、経営の継続に必要な資金の供給、既存融資の条件変更等)が金融庁から要請されています。
(2)下請取引に関する配慮要請
新型コロナウイルス感染症により影響を受ける下請等中小企業への取引上のしわ寄せ防止のため、業界団体等を通じて、親事業者に配慮を求める要請文が発出されています。
【配慮要請の内容】
①サプライチェーンの段損等を理由にして、通常支払われる対価より低い下請代金の設定を行わないこと
②適正なコスト負担を伴わない短納期発注や部品の調達業務の委託を行わないこと
③下請事業者が、事業活動を維持し、又は今後再開させる場合に、できる限り従来の取引関係を継続し、あるいは優先的に発注を行うよう配慮すること
(3)官公需における配慮要請
官公需の発注にあたって、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者に対し、特段の配慮を行うよう各府省等へ配慮要請が行われています。具体的には次の通りです。
柔軟な納期・工期の設定、変更及び迅速な支払い
中小企業・小規模事業者との物件等の契約において、例えば翌年度にわたる納期の変更など、年度末等の納期・工期について柔軟な対応を行うとともに、支払時期については、発注に係る工事等の完了後(前金払、中間前金払においてはその都度)、速やかに支払いを行うよう努めること
適切な予定価格の見直し
新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けている需給の状況、原材料費及び輸送費等の最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づき、適切に予定価格の見直しを行うこと
相談体制の構築
各府省等の官公需相談窓ロにおける相談対応各府省等の官公需相談窓口において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業司、規模事業者の相談に適切に対応すること
5.補助金への加点
3月10日(火)に、①ものづくり・商業・サービス補助金、②持続化補助金の公募が始まりました。
これらの補助金の採択審査において、今回の新型コロナの影響を受けながらも、生産性向上に取り組む事業者に対して加点措置を講じることになっています。
しかし、ほぼ全ての事業者が新型コロナの影響を受けているといえるので、採択審査に強く影響を与えるものではないかもしれません。
6.雇用調整助成
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成されます。
助成率
大企業1/2、中小企業2/3
支給限度日数
1年間で100日(3年間で150日)
お間合せ先
最寄りの都道府県労働局
まとめ
この記事では新型コロナに関する国の支援策のみをまとめています。
この他にも、各都道府県や市町村、財団法人、各種協会等においても支援策が講じられている場合も考えられるので、心当たりのある団体があれば、ホームページなどでご確認ください。
今回はここまで。
お役に立てたでしょうか?
起業、融資、補助金などについて知りたいことがあれば、公式LINEからお尋ねください。匿名でのご相談にも広く対応しています。営業や勧誘は一切行いませんので、お気軽にお問い合わせください。
公式LINE:友達登録
https://page.line.me/vwf5319u