持続化補助金で評価される事業計画書の書き方
チラシの作成や配布、ホームページ作成、店舗の改装など、販売促進の強化に幅広く使える補助金として人気があるのが「小規模事業者持続化補助金」です。持続化補助金は例年、3月~4月から公募が開始され、年間4~5回の公募があります。
この持続化補助金を交付してもらうためには「事業計画書」の提出が必要です。この記事では、今まで事業計画書を作ったことがない事業者のために、高評価を得られる事業計画書のチェックポイントを紹介しています。
チェック1 補助金の目的に合っているか?
国は様々な課題を議論して「政策」をつくります。そして、事業者の方に政策に合った取り組みをしてもらうため、政策に合致する事業を行う事業者に対して資金援助をします。これが「補助金」の正体です。つまり、持続化補助金をはじめ、補助金の財源となるのは国(または都道府県)の予算であり、全ての補助金には何らかの政策目的が必ず定められています。何が言いたいかというと、事業計画書は、その「補助金の目的」に合うように書かなければならないということです。補助金の目的に合っていない事業計画書は決して採用されることはありません。補助金の目的は、補助金が公募されるときに発表される「公募要領」に記載されています。
チェック2 加点を取っているか?
持続化補助金の審査は、いわば「採点競技」です。体操やフィギュアスケートのようなスポーツをイメージするといいかもしれません。採点競技では、技の難易度によって点数が決まりますが、補助金の採択審査でも、ある一定の項目を満たすと点数がプラスされる設計になっています。事業計画書の作成においては、この加点項目をできる限り、獲得する必要があります。加点項目がどこに書いているかというと、公募時に公表される公募要領の「審査の観点」という欄に記載されています。加点項目は細かい内容が多いのでここでは省略していますが、公募要領が発表されたときは必ず目を通すようにしましょう。
チェック3 基本的な構成になっているか?
事業計画書の作成には「基本的な構成」があります。いわば計画書を作成するにあたってのストーリーみたいなものです。自己流で作成するよりも、そのストーリーに沿って作成した方が効率的ですし、事業計画書の評価も高くなります。持続化補助金で提出する事業計画書には、経営計画書と補助事業計画書の2種類が必要になりますが、どちらも「基本的な構成」に沿って書くといいでしょう。
基本的な構成とは?
まず、下の図をご覧ください。現状とあるべき姿があります。時間軸でいうと、現状が現在であるべき姿が未来です。そのギャップが「経営課題」となります。事業計画書の基本的な構成は、
「現状は●●で、あるべき姿は●●である。あるべき姿になるための経営課題は●●であるが、補助金を使ってこの課題を解決したい」です。
事業計画書は、必ずこの基本的な構成を意識して作成した方がいいでしょう。
● 基本的な構成のイメージ図
現状を書く時のポイント
現状は、経歴、事業内容、ターゲット、価格帯などの事業概要を分かりやすく書きましょう。よくある失敗例ですが、現状がこうだと羅列するだけではダメです。現状はあくまでも「現状の分析」でないといけません。現在の立ち位置が把握できていないと「あるべき姿」との距離を正確に測ることはできません。そうなると計画(経営戦略)そのものが適切かどうか分かりません。適切かどうか分からないと、高い評価を得ることはできません。現状分析はとても重要なので、しっかりと行うようにしてください。現状分析が良くないと評価が低くなることを知っておきましょう。
あるべき姿を書く時のポイント
まずは会社全体の将来について考えてみましょう。事業をしている人に「現状に満足している」と答える人はほとんどいません。「この問題を解決したい」「こんなことを新しく始めたい」「数年後にはこのような会社になりたい」といった未来志向の事業者の方が多いと思います。今いちど、その「あるべき姿」に目を向けてください。あるべき姿というと大袈裟ですが、補助金を貰ってどんなことをしたいのか思い浮かべるだけでもいいでしょう。そしてメモ書き程度で構わないので、それを文字に書き出してみましょう。
現状とあるべき姿のギャップを解決
「あるべき姿」を確認し「現状分析」を行ったら、そのギャップを解決するために何をすればいいか考えましょう。これが事業計画です。この事業計画は自ら汗をかいて考えなければなりません。答えは一つではないので、様々な要素を総合的に考えることになります。事業計画が定まれば、それを数字化して計画書を完成させます。数字化とは、顧客が何人増える、売上がいくら増える、経費にいくらかかる、といったことを具体的に計算することです。
登山で例えるなら
これまでの話を登山で例えるなら、あるべき姿とは「山頂」です。現状分析とは「現在位置」です。事業計画は「山頂までの登山ルート」となります。山頂は見えていても現在位置が分からないと登山ルートは決まりません。だから現状分析は必要になります。また登山ルートは数え切れないほど見つかります。しかし、どのルートを選択するか「1本」に絞らなければなりません。複数のルートを試している時間も体力(資金)もないからです。そのルートが険しいか易しいのか誰にも分かりませんが、分からないなりに決めなければならないのです。
チェック4 ストーリー性があるか?
計画書を作成し終えたら、しばらく時間をおいて、計画書を見直しましょう。 計画書にストーリー性があると、審査員はより感情移入しやすくなります。また自社のことだけではなく、顧客や競合他社の分析もしっかり行いましょう。自社の経営資源に比べてバラ色の計画になっていないかなど、整合性が合うかどうかもチェックしましょう。
客観的なアドバイスをもらいましょう
公的機関である商工会や商工会議所の経営指導員は、持続化補助金の事業計画書を見慣れていますし、気軽に相談できる相手です。見る目を変えてチェックすると、論理破綻や誤字脱字、分かりづらい表現などに気付くことができます。持続化補助金の採択審査は非公開で行われ、提出資料のみで判断されます。事業内容に関するヒアリングは実施されないので、事業計画書に不備がないよう作成しましょう。計画書は、できる限り別の人に見てもらいましょう。人から客観的なアドバイスをもらうことで、より現実的な事業計画書ができあがります。
今回はここまで。
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