起業家に伝えたい大切なこと

会社を辞めて起業する30代、40代はどんな人?

起業家バンク事務局

起業家バンクの代表者は以前、政府系金融機関に在籍しており、起業家向けの融資審査を15年以上行っていました。この起業家バンクでも起業家との仕事が多いため、起業家との付き合いは非常に長いものがあります。

今回「30代・40代の会社員から起業する」をテーマに、起業を考えている30代・40代の会社員に伝えたいことをまとめてみました。この記事は起業コンサルタントとしての肌感覚に基づいて執筆していますが、30代・40代の会社員が起業するときの何かのヒントになれば幸いです。

30代・40代の会社員が起業する「きっかけ」

30代・40代の会社員は、何がきっかけとなって起業に踏み切っているのでしょうか。まずは、こちらから紹介します。

専門技術を持っている会社員

調理士や美容師など、専門技術を持っている会社員は、もともと独立志向が強い傾向にあります。いつかは起業したいという想いもって働いている人が多いので、独立の準備が整い次第、起業する人が多いといえます。

技術職ではない会社員

技術職ではない会社員にも、独立志向が強い人はいます。そのような人は、資格やスキルの修得など数年にわたって起業準備をしている人が多い傾向にあります。

その他の起業家にみられる特徴として、「今の会社に居続けたときの10年後の自分」に幻滅して起業を決意する人が少なくありません。会社の上司を見て、それを10年後の自分を重ね合わせ、「10年後の仕事に張り合いがない」、「10年経っても給料は上がらない」といったことを感じとり、会社員でいることに魅力を感じなくなります。もっと自分の人生を充実させたい、という想いがきっかけとなって起業に踏み切っているケースも多いといえるでしょう。

起業の準備期間に違いがある

専門技術を持った会社員は独立を前提に働いているため、5年~10年のスパンで起業の準備をしていることが多く、技術職ではない会社員は、技術職の会社員に比べて起業の準備期間が短いことが多い傾向にあります。技術職ではない会社員は、独立後のイメージを具体的に持ち、起業から逆算して今、何を準備するべきか検討するようにしましょう。

起業の魅力と起業の不安

30代・40代の会社員が感じている起業の魅力と、起業の不安をまとめました。起業の不安を整理すると、結局は事業が上手くいかないことに起因することが多いといえるでしょう。

起業の魅力

・自分の想いを実現できる
・得られる収入に上限がない
・定年退職がない(好きな仕事をずっと続けられる)
・仕事をする時間を自分で決められる
・人間関係から解放される
・実力主義で正当な評価が得られる
・子供に自分の生きざまを見せることができる
・さまざまな人と出会える

起業の不安

・事業が上手くいかず、収入が得られない
・莫大な借金を背負ってしまう
・家や車などの資産を失ってしまう(破産する)
・家族を不幸にしてしまう

どのようなビジネスで起業しているか?

仕事をしていると知識やスキルは自然と積み重なっていくものなので、30代・40代になれば、会社や上司の指示がなくても1人で仕事ができるようになります。そのため、30代・40代の会社員は、会社員時代に身に付けた知識やスキル、会社員時代に築いた人脈などを活用して起業するケースが圧倒的に多いといえます。

これまでに培ってきた知識やスキルを活かせないベンチャー事業やフランチャイズに参入するケースは比較的少ない傾向にあります。実際は、仕事を発注してくれる取引先と、あらかじめ話を詰めておき、独立後に仕事を回してもらう方法がもっとも一般的といえます。テレビ局に在籍していたアナウンサーが、フリーアナウンサーとなった後でも、テレビ番組の司会を引き続き任せてもらうといった方法をイメージすれば分かりやすいと思います。

30代・40代の会社員から起業した人が後悔していること

起業の方法に絶対的な正解はない。そのため、「これをやれば間違いなく成功する」というものはありません。しかし、「これをやれば失敗する」というものは、あります。起業を検討している人のため、30代・40代の会社員から起業した人が後悔していること(失敗談)を紹介しておきます。

事業計画を大きく描きすぎた

会社員のときは、数百万円、数千万円の仕事をしていたかもしれないが、金融機関を含め、実績のない起業家と取引するときは、少額の仕事からスタートすることがほとんどです。

大きな絵を描きすぎて、先行支出をしてしまうと、思うように資金調達ができず、運転資金が途中で枯渇してしまうことがあります。スモールビジネスにとって、数百万円、数千万円のお金は非常に大きく、容易に調達できるものではありません。とくに大手企業に勤めている会社員は、起業するときに一度、金銭感覚をリセットした方がいいでしょう。

金融機関から資金を簡単に調達できると思ってはいけません。自分が想定している以上に起業家の信用は低いものなので、勇み足とならないように注意しましょう。

共同経営者は不要だった

多くの資本を投入するベンチャー企業であれば、共同経営者といえる人物は必要です。大きな事業を1人で動かすのは無理だからです。しかし、スモールビジネスに関して言えば、1人で事業を動かすことができるため、共同経営者は、いない方がいいといえます。

共同経営者が1人増えると、その事業でまかなっていく人が1人増えることになります。そのため、ビジネスモデルは同じでも、共同経営者が増えることによって、倍以上、稼ぐ必要が出てきます。小さな利益を分け合うことになると、人間関係を悪くし、経営は上手くいかなくなる傾向にあります。

起業に不安があると仲間を探したくなるものですが、ワンマンで経営した方が上手くいくといえるでしょう。各人に顧客がついている場合など、起業当初から相応の収入が見込める場合は、共同経営者がいてもさほど問題になりませんが、スモールビジネスであれば特に共同経営者はいない方が良いと思います。

資格・スキルの修得に時間をかけすぎた

たとえば、士業の資格、プログラミングなどのスキルの修得がこれに当たります。どうしても必要な資格・スキルならば仕方ありませんが、資格を取ったからと言って、また、スキルを身に付けたからと言って、それがそのままお金に変わることは、ほとんどありません。資格やスキルを持っているだけではお金にならないことを覚えておきましょう。

付け焼き刃の知識やスキルでは勝負にならないので、30代・40代で資格やスキルを身に付けたとしても、20代で資格やスキルを修得して既に仕事をしている同業者に勝つことは難しいといえます。資格・スキルを修得している人に仕事を任せて、ちがう分野で勝負することも検討した方がいいでしょう。また、どうしても必要な資格やスキルは、時間や経費の削減のためにも、できるだけ起業前に済ませておきましょう。

家族の時間を減らしすぎた

事業が軌道に乗る前は、寝る間も惜しんで仕事をすることが多くなります。事業が軌道に乗ってくると、マンパワーが足りなくなったり、さらに仕事に奮闘したりして、時間がどんどんなくなっていきます。24時間が飛ぶように去っていき、家族と過ごす時間が激減することも多いです。

環境が変わると価値観が変わることも多いので、家庭崩壊を招かないよう、家族とのコミュニケーションをしっかりとって、家族マネジメントにも注力しましょう。

まとめ

勉強でもスポーツでも芸術でも何でも同じですが、初めてやることに失敗はつきものです。誰しも最初から上手くいくわけではなく、それは起業も同じです。

どんな経営者でも失敗はしているので失敗はしてもいいのですが、再起不能の失敗だけは避けてほしいと思います。ここでいう再起不能の失敗とは、負債を残したまま事業閉鎖することです。現在の金融機関は一度失敗すると、次のチャンスはなかなか貰えません。かといって、金融取引を一切せずに事業を拡大・維持していくことは難しいかもしれません。

30代・40代は、社会のことを熟知している年代なので大丈夫だと思いますが、今いちど、事業計画をしっかり見直し、取り返しのつかない大失敗だけは避けるようにしましょう。自信は必要ですが、テクニカルなリスクヘッジも必要となります。

 

今回はここまで。
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この記事を書いた人

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