起業家必見!賃貸借契約で確認すべき大切なポイント
起業家と貸主の間で結ばれる賃貸借契約は、事業者間の取引になると考えられており、消費者契約法10条が保護する取引に該当しない可能性があります。
借主が一般の消費者であれば無効となる特約も、事業者間の取引であれば契約自由の原則によって有効な特約となりえます。
また賃貸借契約の内容によっては、許認可の取得など事業の運営に影響を及ぼす可能性があるため、その視点からもいくつか注意が必要です。
賃貸借契約を結ぶときのポイント
1.契約内容が不当に不利ではないか?
冒頭に記載した通り、起業家と貸主の間で結ばれる賃貸借契約は事業者間の取引になると考えられるため、消費者契約法が保護する取引に該当しない可能性があります。
事業者間の契約では契約自由の原則が広く働き、一方的に不利な契約内容であっても有効な契約になることがあります。
家賃や敷金など近隣の類似物件と比較して高すぎないか、更新料の有無や原状回復義務の範囲で不当な特約がないか、ハンコを押す前に契約内容をよく確認しましょう。
消費者契約法における「事業者」の定義
消費者庁のwebサイトによると、消費者契約法における「事業者」の定義は、①事業に関連する目的で行為すること、②自然人又は法人その他の団体であること、となっています。(2017.5 現在)
詳細な判例や見解などはまだ出ていませんが、起業家はこの事業者の定義に該当し、消費者には当たらないと考えられます。
2.使用目的が「居住用」ではないか?
ほとんどの賃貸借契約書には「賃借人は、本物件を○○○のために使用し、他の用途には使用してはならない」という使用目的を定めています。貸主の予想しない使用方法によって、想定外の損害が発生するのを防ぐためです。
この使用目的が「居住用」だと、建設業や古物商といった許認可がおりない可能性があります。とくに自宅兼事務所として起業するときは注意が必要です。
使用目的が「居住用」でも貸主の承諾があれば問題はないので、居住用の物件で事業を始めるときは、あらかじめ貸主の了解を得ておきましょう。なお自宅兼事務所であっても、自宅が自己所有であれば特に問題ありません。
3.「間借り」ではないか?
ご友人や知人の方からのご厚意で、その方の事務所や店舗の一角を借りて起業するケースがあるかと思います。友人や知人の方が、物件の所有者であれば問題はないですが、別に所有者がいる場合(=間借りとなる場合)は問題となります。
通常、賃貸借契約書には「転貸禁止」の条項がついています。つまり、又貸しを禁止する条項です。間借りは、本当の貸主(物件の所有者)と、友人や知人の方との間の賃貸借契約に抵触する可能性があります。
間借りだと許認可を取得するときに問題になるかもしれませんし、金融機関から資金を調達するときに不利な判断を受けるかもしれません。また銀行口座を開設するときにも支障がでるかもしれません。
不利益を被ることを承知で間借りする場合でも、友人や知人の方を通じ、あらかじめ所有者の承諾をもらっておく方が安心です。
賃貸借契約書で使われる用語一覧
賃貸借契約書には、敷金、保証金、敷き引きといった専門的な用語が使われます。これらの専門用語は法律用語ではなく、昔からの慣習で使われているものです。あらかじめ、これらの用語に関する内容を整理しておきましょう。
賃貸借契約書で使われる用語一覧
敷金
入居時に借主が貸主に渡す「預け金」です。預けているお金なので、退去時には返金されます。ただし未払い家賃や修繕費用などが発生する場合は敷金から引かれ、その差額が返金されます。
保証金
概ね「敷金」と同じ意味で使われます。
礼金
入居時に借主が貸主に支払う謝礼金です。退去時に返金されません。
更新料
通常、賃貸借契約には契約期間が定まっています。更新料とは、この賃貸借契約を更新するときに支払う「更新手数料」のことです。
敷き引き
入居時点で、あらかじめ退去するときに返金する敷金の額を決めておく特約です。退去時に修繕費用がいくらかかるかに関わらず、決められた金額は返金されません。
まとめ
賃貸借契約書の内容をしっかり確認し、不当に不利だと思われる条項については詳細な説明を求めましょう。立地がモノをいう店舗物件では即断即決したくなる気持ちも分かりますが、契約内容に不安を感じたときは、少し立ち止まって賃貸借契約に詳しい方に相談しましょう。
今回はここまで。
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