個人事業主は必見!小規模企業共済の節税効果
売上が伸びてくると、次に気になるのは税金対策ですよね。税理士に相談すれば効果的な節税方法を知ることができるかもしれませんが、税理士を頼らなくても、自分一人で簡単にできる節税対策があります。
それが、小規模企業共済への加入です。この記事では、節税を考えている個人事業主や小規模の会社役員の方のために、小規模企業共済について詳しく解説しています。
小規模企業共済とは
小規模企業共済とは、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する「小規模事業者向けの退職金制度」です。個人事業主が事業をやめたとき、会社の役員が退職したときなどに共済金を受け取ることができます。サラリーマンのような退職金制度がない個人事業主や小規模企業の経営者が、自分で自分の退職金を積み立てるようなイメージです。
受け取れる共済金は、自身で決めて積み立てた掛金の総額(基礎共済金)+付加共済金となります。基本共済金とは、掛金の金額や掛金の納付月数に応じて定められている金額です。付加共済金とは、毎年度の運用収入等に応じて、一定利率で算定される金額です。毎月の掛金は1,000円から7万円の範囲内で、500円単位で自由に決めることができます。月払い/半年払い/年払いのいずれか任意の方法で積み立てていく仕組みとなります。
掛金は前払いすることもでき、前払いすると、前納した月数によって前納減額金を受け取ることができます。
共済金の種類
小規模企業共済の共済金は「共済金A」「共済金B」「準共済金」「解約手当金」の4種類となります。共済金を請求する理由(共済事由)などによって、受け取れる共済金の種類が変わります。
共済金等の種類 | 請求事由 |
共済金A | ・個人事業を廃業した場合 ・共済契約者の方が亡くなられた場合 |
共済金B | ・老齢給付として請求する場合(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方) |
準共済金 | ・法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をした場合 |
解約手当金 | ・任意に解約する場合 ・機構解約する場合(掛金を12か月以上滞納した場合) ・法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合 |
引用元:中小企業基盤整備機構
共済金には満期という概念はなく、廃業したときや個人事業ではなくなったときなどに受け取ることができます。
加入資格
小規模企業共済に加入できる方は次のとおりです。
- 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
- 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
- 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
- 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
- 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
- 上記(1)と(2)に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)
加入申し込みの際には、指定の契約申込書などを提出するほかに、確定申告書の控えを提示しなければなりません。なお、開業したばかりでまだ確定申告をしていない場合には、開業届の控えを代わりに提示します。
加入できない人
小規模企業共済に加入できない方の例は次のとおりです。
- 配偶者などの事業専従者(共同経営者の要件を満たしていれば加入できます)
- 医療法人、社会福祉法人、NPO法人など直接営利を目的としない法人の役員
- 給与所得者(役員以外の従業員など)
- 会社の役員であっても商業登記簿に役員登記されていない方
※その他の事例については、中小企業基盤整備機構ホームページ「加入資格」でご確認ください。
小規模企業共済の節税効果
小規模企業共済の掛金は所得から全額控除することができます。加入手続きをして掛金を積み立てるだけなので、手軽で効果の大きい節税方法です。
また、積み立て時だけでなく共済金の受け取り時にも節税効果があります。
共済金の受け取りは、一括受け取り/分割受け取り/一括と分割の併用受け取りのいずれかを選択します。
一括受け取りで受け取った共済金は「退職所得」扱い、分割で受け取ると「公的年金等の雑所得」扱いとなります。どちらを選んでも共済金額から控除することができるため、税制面で有利です。
小規模企業共済に加入するメリット3つ
小規模企業共済に加入する最大のメリットはその節税効果ですが、それ以外にもメリットがあります。
メリット1|手軽で大きな節税効果
個人事業主であれば、確定申告時に掛金の年間合計額を所得から控除できます。
損金や経費の計上と同じように、課税対象である所得金額が減るため、結果として節税につながるのです。
どれくらい節税になるかは、以下の表を参考にしてください。
所得金額 | 小規模企業共済に加入した後の「節税額」 | ||
掛金1万 | 掛金3万 | 掛金7万 | |
200万円 | 20,700円 | 56,900円 | 129,400円 |
400万円 | 36,500円 | 109,500円 | 241,300円 |
引用元:中小企業基盤整備機構
例えば、課税される所得金額が400万円、掛金が月額3万円、納付期間が15年間だとすると、通算の節税額は、109,500円×15年=1,642,500円となります。
メリット2|積立額の最大120%相当の共済金を受け取れる
共済事由により支給額は異なりますが、個人的な都合で任意解約をしない限り、最大で積立額の120%相当の金額を受け取ることができます。
納付年数 | 掛金合計額 (月額1万円) |
共済金A | 共済金B |
個人事業の廃止、 個人事業主の死亡等 |
会社役員の死亡、 65歳以上の退任等 |
||
10年 | 1,200,000円 | 1,290,600円 | 1,260,800円 |
20年 | 2,400,000円 | 2,786,400円 | 2,658,800円 |
30年 | 3,600,000円 | 4,348,000円 | 4,211,800円 |
引用元:中小企業基盤整備機構
例えば、納付年数が30年、掛金合計が3,600,000円(月額1万円)、共済金Aの事由に該当した場合、4,348,000円÷3,600,000円×100%=約121%の共済金を受け取ることができます。
メリット3|積立額の範囲内で貸付けを受けられる
積立額の7割~9割の範囲内で事業資金の貸付けを受けることができます。
この貸付けは、無担保・低利率で事業者にとっては利用しやすい資金調達方法のひとつです。
貸付けには、事業資金を簡単迅速に借り入れできる「一般貸付け」と、条件を満たしたときに借り入れできる「特別貸付け」があります。
「特別貸付け」には、新規開業したときなどに必要な資金を借り入れできる「創業転業時・新規事業展開等貸付け」や、病気やケガで一定期間入院したときなどに借り入れできる「傷病災害時貸付け」などがあります。
小規模企業共済のデメリット2つ
個人事業主にメリットの多い小規模企業共済にも、デメリットはあります。
すべての人に起こるわけではありませんが、小規模企業共済にリスクがあることを念頭におき、加入するかどうかを判断しましょう。
①掛金の全額が戻ってこないリスク
掛金の納付期間が短いと共済金を受け取れません。共済金Aと共済金Bは掛金納付月数が6か月未満の場合、準共済金と解約手当金は12か月未満の場合に、掛け捨てとなってしまいます。
②元本割れするリスク
任意解約をした場合、掛金の納付月数が240か月(20年)未満だと、受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回るので注意しましょう。
例えば、84か月(7年)未満で解約した場合の解約手当金は掛金合計額の8割、12か月(1年)未満で解約した場合は無支給となります。
まとめ
小規模企業共済は非常にメリットの大きい制度です。
節税になるのはもちろんのこと、ご自身の将来への備えにもなります。
メリットの大きさに比べれば、デメリットはそれほど負担のあるものではありません。
個人事業主は節税対策が限られますので、デメリットに不安を感じなければ、積極的に小規模企業共済の加入を検討しましょう。
今回はここまで。
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