飲食店の開業時に必要な営業許可の種類
飲食店を営業する場合、店の規模に関係なく、「飲食店営業許可」を取らなければなりません。
また、場合によっては、深夜酒類提供飲食店、風俗営業法に基づく営業許可も取得しなければならないケースもあります。この記事では、どのような店舗に、どのような許可が必要かについて、詳しく説明しています。
飲食店営業許可申請
飲食店を営業する場合は、店の規模や場所に関わらず、営業許可を取得する必要があります。店舗を持たない移動販売についても営業許可は必要です。
まず、営業許可申請を行う前に、1名の「食品衛生責任者」を店に置かなければなりません。食品衛生責任者とは、調理師や栄養士の資格を持っている人のことですが、これらの資格を持っていなくても、保健所が実施する講習会(通常1日)を受講すれば、取得することができます。
必要書類
営業許可の申請は、店を営業場所を管轄する保健所に、次の①~⑤の書類を提出します。
① 営業許可申請書
② 営業施設の大要・配置図
③ 食品衛生責任者設置届(食品衛生責任者手帳の写しなどを添えて提出)
④ 登記事項証明書(法人の場合)
⑤ 水質検査成績書(貯水槽、井戸水を利用する場合)
上記①の営業許可書申請書には、代表者の氏名と住所、店の住所、営業時間、食品衛生責任者の氏名、店の面積を記載します。
手数料
営業許可に関する事項は、各都道府県が「食品衛生執行条例」によって定めていますので、申請の手数料は、都道府県によって、異なります。通常手数料は、15,000円~20,000円程度です。
深夜酒類提供飲食店営業許可申請
①酒類を提供し、②深夜0時を超えて営業する場合は、飲食店の営業許可を取得するとともに、店の所在地を管轄する警察署に届出書を提出しなければなりません。この届出書は、「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」という名称の書類になります。
届出が必要な飲食店は、法律的には「バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。)」で、しかも深夜0時を過ぎて営業する飲食店となっています。わかりやすく言えば、お酒の提供がメインで、深夜0時を過ぎても営業する店ということになります。
ただし、届出が必要な否かは、最終的には、所轄の警察署の判断ということになります。届出が必要か不明な場合には、前もって出店を予定している住所地を管轄する警察署の生活安全課に確認した方が確かでしょう。
届出に必要な書類
届出に必要な書類は、以下の①~⑥とおりです。
ただし、都道府県によって、多少異なります。
① 深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書(別記様式第41号)
② 営業の方法を記載した書類(別記様式第42号)
③ 営業所の平面図
④ 個人の場合は住民票(本籍入り)
⑤ 法人である場合は、定款、登記事項証明書及び役員に係る住民票(本籍入り)
⑥ その他営業を行おうとしていることを疎明する資料
上記⑥の疎明資料はとして次の書類を提出してください。
・営業所の周囲の略図
・食品衛生法の営業許可証のコピー
・都市計画法に基づく都市計画区域の定めがある場合は、当該営業所の所在地の
用途地域の縦覧図
・営業所の賃貸契約書のコピー
手数料
申請の際の手数料は不要です。
届出前に必ず確認すること ① 「用途地域」
まず、物件、立地についてですが、出店する場所の用途地域を確認する必要があります。
日本では、土地を「居住地域」、「商業地域」、「工業地域」に分類していますが、自分が今から酒類を提供する店舗を出そうとする場所が、どの地域になるのかを必ず確認しておく必要があります。
もし、この確認を怠り、店舗を借りた後で、出店できない地域だと分かった場合、契約の労力や敷金等の金銭が無駄になってしまいます。そのため、出店したい場所があれば、必ず不動産会社に行って、酒類を提供する店を出すことが可能な場所かどうかを確認しましょう。
また、自分で調べる方法もあります。各自治体が公表している「都市計画図」を確認することによって、自分が出店したい場所が適切かどうかわかります。具体的には、インターネットで、「○○市 都市計画図」というキーワードで検索すれば、確認できる可能性があります。
もし、該当する自治体が「都市計画図」を公表していない場合には、市区町村役場の都市計画課などで、都市計画図を入手しましょう。手数料は、数百円です。
都市計画図を入手したら、自分が出店する予定の場所が、出店可能かどうかを確認します。地域は、「第一種低層住居専用地」、「第二種低層住居専用地域」等と細かく分類されています。一般の人にとっては、どの地域が良くて、どの地域が悪いのかがわかりませんが、大まかに言えば、「住居」という言葉が入っていた場合、出店できないと思って良いと思います。
届出前に必ず確認すること② 「内装」
次に確認するべきことは、内装(レイアウト)です。具体的に言えば、客室の内部に見通しできない壁や仕切りがあってはいけません。また、客室が2つ以上の時は、客室の床面積が9.5平方メートル以上なければなりません。
届出前に必ず確認すること③ 「接待をしないこと」
最後の条件は、接待をする店であってはいけないということです。もし接待を行う店を出したいのであれば、風俗営業法に基づく届け出が必要です。もし、風営法の許可を取らずに、客の接待を行えば、違法となり、摘発されることになります。
風俗営業法に基づく営業許可申請
酒類を提供する店で、接客を伴う場合は、「風俗営業法による届出」を、店舗の所在地を管轄する警察署に行わなければなりません。
接客をするとは、法的には歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことですが、具体的に以下のような行為を言います。
・特定のお客の席について継続して話をしたり、お酌をしたりする行為
・特定のお客に歌や踊りを聞かせたり、見せたりする行為
・特定のお客に歌を歌うよう勧めたり、歌っている時に手拍子や楽器で盛り上げたりするような行為
・お店の人がお客と一緒にゲームや競技をする行為
・お客と身体を密着させたりする行為
また、このような店は、深夜0時を超えても酒類を提供できるのですが、「0時を過ぎたらお客に遊興させてはいけない」という規定があります。
「遊興させる」とは、例えば次のような行為です。
・お店にいる不特定のお客さんに歌、ダンス、ショウ、演芸、映画その他の興行等を見せる行為
・生バンドの演奏等をお客さんに聞かせる行為
・のど自慢大会等お客さんの参加する遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為
・舞台装置を設けて不特定のお客さんにカラオケをさせる行為
・不特定のお客さんにカラオケを歌うことを勧める行為
・不特定のお客さんの歌をほめはやす行為
例えば、0時を超えて、お客さんが勝手にカラオケで歌う、勝手にダーツなどのゲームをする等の行為は、「お客を遊興させる行為」にはなりません。
届出に必要な書類
届出に必要な書類は、以下の①~⑧のとおりです。ただし、都道府県によって、多少異なります。
① 風俗営業法許可申請書
② 住民票(本籍地が記載されているもの)
③ 身分証明書(申請日前3ヶ月以内に発行されたもの)
④ 委任状(行政書士に申請を依頼する場合)
⑤ 使用承諾書、使用承諾証明書(又貸しの場合)
⑥ 店舗賃貸契約書
⑦ 料金表、メニュー表
⑧ 営業許可書
まとめ
深夜酒類営業と風俗営業を一つの店で、同時に営むことはできません。したがって、酒類を提供する店を営業する場合には、深夜酒類営業の店か風俗営業の店のどちらか一つを選び、いずれかを申請する必要があります。
今回はここまで。
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