メガバンクとネットバンクを賢く使い分ける方法
法人口座を開設するとき、事業者の大半がメガバンクとネットバンクの両方に銀行口座を開設しています。メガバンクとは、一般的に、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の3行のことで、日本を代表する大きな銀行です。一方、ネットバンクとは、リアルの店舗を持たずにインターネットや電話等で取引する銀行で、楽天銀行やジャパンネット銀行が知られています。
今回は、メガバンクとネットバンクを徹底的に比較し、メガバンクとネットバンクを賢く使い分ける方法を解説していきます。
法人口座の開設に係る基礎知識
法人口座開設に必要な書類
まず、法人口座の開設に必要な書類から確認しましょう。
最低資本金制度の廃止によって、誰でも起業できる時代となりましたが、振り込め詐欺や反社会的勢力など社会的倫理に反する企業が多くあるのも事実です。
そのような企業を締め出すため、銀行は法人口座を開設する企業に対し、以下のような書類を提出してもらい、信用に値する企業かどうかを判断しています。
・登記簿謄本
・印鑑証明書
・口座開設担当者の本人確認書類
・事務所の賃貸借契約書
・事業計画書
ちなみに金融機関によって、口座開設に必要な書類は異なるので、事前に確認しておきましょう。詳細は各金融機関のホームページで確認してください。
法人口座を開設できる金融機関
法人口座を開設できる金融機関は具体的には以下となります。
・メガバンク
・地方銀行
・ゆうちょ
・信用金庫
・ネットバンク
今回はこの中からメガバンクとネットバンクをピックアップして、メガバンクとネットバンクの違いを比較していきます。
手数料について
ネットバンクの振込手数料は安い
ネットバンクの手数料はメガバンクと比較して非常に安いので、振込などネット中心に利用する企業にとっては使い勝手がいいです。
例えば、三菱UFJ銀行の場合、他行宛の振込手数料は3万円未満で550円、3万円以上で770円もかかりますが、ネットバンクであればメガバンクの振込手数料の3分1程度に抑えることが可能です。
※2021年3月時点
次に、GMOあおぞら銀行の例を見ていきましょう。
他行宛の振込手数料は3万円未満で166円、3万円以上で261円となっています。メガバンクとネットバンクでは1回の振り込みで500円以上もの差額が発生するのです。仮に月に60件の振り込みがあるとすると1年間で500円×60件×12ヶ月=36万円の差額が発生してしまいます。
売上規模がそこまで大きくない中小企業の場合には、ネットバンクを利用することで経費の削減効果が見込まれるでしょう。
ネットバンクの月額料金は無料
メガバンクの場合、個人のネットバンキングの利用料は無料ですが、法人の場合はネットバンキングを利用しているだけで月額の維持コストが発生します。例えば、三菱UFJ銀行の場合、月に1,760円の基本料金がかかります。
ネットバンクの場合には口座開設・口座維持手数料はかかりませんので、基本的に無料で利用することができます。
なぜメガバンクはネットバンキングの維持コストがかかるのでしょうか?
メガバンクは日本全国に支店を持ち、大勢の銀行員を配置しており、店舗の設備費用と従業員の人件費がかかっています。そのコストを利用者に転嫁しているので、費用が高くなっているのです。
また、私見を言えば、メガバンクのオンラインバンキングは操作性が悪く、ユーザーフレンドリーではないことが多いです。システムもガチガチに設計されていて、業務の効率性はよくありません。
法人口座を開設する労力
メガバンクは必要書類が多く時間がかかる
メガバンクにおいては、最近、法人の新規口座開設のハードルが上がってきています。ネット上での詐欺やマネーロンダリングなど、法人口座が不正に利用されることが増加していることが背景にあります。反社会的勢力や詐欺に銀行の口座が利用された場合、銀行の信用問題に関わるので、口座開設時に徹底的な審査をしています。そのため、内部の事務が煩雑で複数の担当者の承認が必要になります。
また、メガバンクで法人口座を開設するために必要な書類は格段に増えており、登記簿謄本はもちろんのこと印鑑証明書や会社のホームページの印刷書類、事業計画書などを揃える必要があります。事業内容把握のために後から追加で書類が必要になることも珍しくありません。
こういった書類を銀行の支店に直接行って提出する必要があるので、いちいち手間がかかります。審査が厳しく、確認する書類の数も多いので、申込みから完結するまで半月以上かかることもあります。
ネットバンクの審査は早い
ネットバンクであれば口座開設の手続きがすべてオンラインで完結します。法人の事業内容や業界にもよりますが、申し込みから1営業日で口座開設が完結することも珍しくありません。
口座の利用時間について
メガバンクの口座利用時間には制限がある
メガバンクの場合、窓口やATMが開いている時間でなければ口座を利用できません。
また、法人口座のオンラインバンキングについても接続できる時間に制限があります。
例えば、三菱UFJ銀行の場合は朝の8時から夜の11時55時までなので、早朝や深夜にネットバンキングを利用して、振込や残高を確認することが出来ません。
また、税金・各種料金の払込や外国為替などサービス内容によって、利用時間が異なり、利用者にとって分かりにくい仕様となっています。
ネットバンクは24時間いつでも利用可能
ネットバンクであれば、24時間いつでも利用できるので、振込や残高確認などを深夜でも祝日でも問題なく行なえます。土日祝が稼働している会社にとっては、タイムリーに入出金ができるのでとても助かります。
銀行融資について
ネットバンクは融資に消極的
ネットバンクはメガバンクとは異なり、中小企業への融資業務を積極的に行っていません。そのため、会社の経営が行き詰まり、資金がショートしかけてもネットバンクが助けてくれる可能性は低いといえます。
一方、融資業務はメガバンクの本業中の本業であり、日本全国の企業に融資実績があります。一部のネットバンクにおいては事業融資を行っていますが、融資金額や金利などの融資条件においては、メガバンクに劣る点が多いといえるでしょう。
メガバンクに口座があると信用力が高まる
ネットバンクの知名度は上がっているものの、メガバンクと比較すると信用力、知名度が劣るのは事実でしょう。業界にもよりますが、伝統や格式を重視する取引先の場合は、ネットバンクを取引口座としていることが欠点として働くことも考えられます。
メガバンクは口座開設時に審査を厳しくすることで信用を保っていますので、信用に差が出ることは仕方ないかもしれません。
ネットバンクでは担当者がつかない
メガバンクに法人口座を開設すると銀行の担当者が付きます。担当者がつくとATMに行かなくても預金や小切手を預かってもらえたり、融資や保険など財務全般の相談に乗ってくれるので何かと便利です。
一方、ネットバンクでは担当者がつくことはないので、お金を預かってもらったり、財務の相談に乗ってくれることもありません。会社の財務担当者に金融に関する知識が十分にない場合にはデメリットになる可能性があります。
ネットバンクは公的融資の振込口座に使えない
ネットバンクは、日本政策金融公庫のような公的機関からの融資を受ける際の振込口座として利用することができません。この場合、メガバンクなどの預金口座を別に用意する必要があります。
まとめ
メインバンクとして、ネットバンクを使うべきか、メガバンクを使うべきかは法人の事業内容や業界によって大きく異なります。銀行口座は複数持っていても問題ありませんので、上記で示したようなメガバンクとネットバンクの違いを参考にしながら、両者のメリットを享受できるよう用途ごとに賢く使い分けましょう!
今回はここまで。
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