起業家に伝えたい大切なこと

廃業する企業を購入する方法

起業家バンク事務局

2021.11.19

日本には現在350万以上の中小企業がありますが、そのうち3分の2以上の会社が後継者不足で廃業の可能性があると言われています。廃業する会社を実際の相場よりも安い価格で購入して新規事業を開始する方も増えています。

この記事では廃業する企業を購入する方法やそのメリットなどを合わせてご紹介しています。

中小企業の廃業の状況

現在日本には約359万の企業があり、そのうち99%を占める358万社が中小企業です。そして、東京商工リサーチによれば、中小企業の約3分の1にあたる127万社が廃業予備軍となっています。しかし、そのうち半分は黒字経営であり、業績が好調にもかかわらず廃業の危機にある企業が数多くあります。

これらの企業が廃業する可能性がある理由は後継者の不在です。会社の事業を継続するためには次の世代に経営を承継する必要がありますが、後継者が不在の為に廃業の危機にあるのです。
つまり、廃業するからといって赤字経営とは限らないので、廃業する可能性のある企業を購入することで起業したり、新しい事業に参入することは極めて有効であると言えます。

廃業する企業を購入する方法

廃業する企業を購入したい場合、どのようにして企業を探せばよいのでしょうか?
企業を探す方法について解説します。

M&A仲介会社に依頼する

最も一般的な方法はM&A仲介会社に相談することです。M&A仲介会社はM&Aの買い手と売り手をマッチングさせる役割を担っており、マッチングのみならずM&Aの成立までサポートしてくれます。

M&A仲介会社には一般に公開されていない売り手企業の情報も蓄積しているため、「廃業を検討している企業を購入したい」と相談すれば、条件に合った企業を紹介してくれるかもしれません。ただし、M&A仲介会社の場合は成立時に手数料を支払う必要があるほか、主な顧客が法人ですので、個人で企業を買収する方には向いていないかもしれません。

M&Aマッチングサイトを利用する

企業買収の売り手を手軽に探せる方法としてM&Aのマッチングサイトの活用があります。マッチングサイトには売りに出している企業の情報が公開されているので、「予算」「業種」「規模」などの条件に合った企業を探すことができます。

マッチングサイトには幅広い企業の情報が掲載されており、数百万円で購入できる企業から数億円規模の案件まで多種多様です。個人でも購入できるような規模の企業もあるので、法人だけではなく個人でも利用できます。

従来、マッチングサイトでは案件を掲載しているだけで売り手と買い手の交渉は当事者に任されていましたが、現在では専門家のサポートが提供されているマッチングサイトもあります。契約書の作成やM&A成立後のアフターサービスまで包括的に会社購入をサポートしてくれます。

金融機関

金融機関と融資などの取引がある場合には金融機関に相談するという方法もあります。メインバンクであれば、自社の経営状況を把握しているので相談に乗ってくれやすいでしょう。金融機関は様々な企業と取引があり、全国の中小企業から対象となる企業を紹介してくれます。

ただし、金融機関の場合にはM&Aを専業としているわけではないので、得られる情報や候補先の数に限りがあるほか、大きな案件がメインですので、個人で企業を購入する場合には適していないかもしれません。

廃業する企業を購入するメリット

繰り返しとなりますが、廃業する可能性のある企業の半数は黒字経営であり、これらの企業を購入することは有効であります。それでは実際に廃業する企業を購入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?これらのメリットを考慮すると、自ら起業したり、新規事業に参入したりするよりも、廃業する企業を購入するほうがお得であると分かります。

比較的安価で購入できる

通常、企業を買収する場合には、買収対象の企業の業績、財務、技術力などを算定し、買収価格を決定します。黒字経営の企業の場合は相応の価格を提示しなければ買収はできません。

しかし、廃業する企業の場合は後継者が不在である、業績が悪化しており、債務超過に陥っているなどの問題を抱えています。したがって、市場の相場よりも安価で購入することができ、経営者の中には無償でもいいので会社を承継してほしいと考えている人さえいます。

会社の規模や業種によって買収価格は異なりますが、安い企業であれば数百万円で購入できることも珍しくありません。通常、起業する場合や新規事業に参入する場合には多額のコストがかかりますが、廃業する企業を購入することで起業コストを最小限に抑えて、余剰資金を事業への投資に回すことができます。

ただし、廃業する会社は簿外債務など決算書を読んだだけではわからないリスクを抱えている場合もあるので、買収する前にデューデリジェンスを行うなどリスク管理は必要です。

購入直後から利益が出る

通常、起業した場合や新規事業に参入する場合は、事業の立ち上げから利益が出るまでにはタイムラグがあります。多くのベンチャー企業やスタートアップ起業がそうであるように、最初のうちは利益はほとんど出ないことも珍しくありません。

それどころか、設備資金や従業員の獲得、取引先の開拓などに多大な時間とコストを割くことになり、事業資金が足りなくなることも珍しくありません。しかし、廃業する企業を購入する場合には利益が出ている既存事業を獲得できるので、購入直後から利益が出ます。ゼロから事業を立ち上げる必要がないのは大きなメリットです。

従業員を獲得できる

会社経営には優秀な従業員の存在が欠かせません。新規事業の立ち上げ段階では採用活動に多くのコストや労力を割く必要があります。
しかし、廃業する企業を購入する場合には在籍している熟練従業員を獲得することができます。採用活動にかけるコストを節約して、技術やノウハウを獲得することができます。
また、従業員にとっても廃業して仕事がなくなってしまうよりも、引き続き雇用が守られることは安心といえるでしょう。

営業基盤を引き継げる

新規事業を始めた場合に最も苦労するのが営業基盤の確保です。企業が継続して利益を出すためには新規顧客の獲得や取引先との関係の構築が必要です。しかし、事業開始直後は業界内で実績がないので、なかなか信頼してもらえません。

廃業する企業を購入する場合には、その企業の顧客基盤や取引先との関係性を承継することができます。すでに長年取引を継続しており、信頼関係を築けているので、買収後の事業経営がスムーズに進みます。

まとめ

廃業する企業を購入することで低価格・低リスクで新規事業への参入が可能になります。しかし、企業買収では簿外債務などを承継してしまい、買収後にトラブルに発展するケースもあります。そのような事態を避けるためにも契約前に決算書を精査したり、弁護士などの専門家に相談することが大切でしょう。

今回はここまで。
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