中小企業も放置できないレピュテーションリスクへの対策
企業の商品やサービスに対する信頼は「企業自体の評判」の影響が大きいといえます。企業の評判は業績にとってプラスとなることもあれば、逆にネガティブな影響を与えることも珍しくなく、倒産に追い込まれる事態も発生しています。
このように、企業に対するマイナスの評価や評判が広まることによる経営リスクを「レピュテーションリスク」といいます。英語でレピュテーション(reputation)とは「評判、風評、名声」といった意味があり、それに関するリスクがレピュテーションリスクです。
最近ではSNSの発達によって、バイトテロなどで炎上する企業も散見されますが、そのような企業をイメージすると、レピュテーションリスクをイメージしやすいかもしれません。事業継続には取引先や顧客からの信頼が不可欠であり、社会的な評価や評判が、業績ひいては資金調達などに影響を及ぼします。この記事ではレピュテーションリスクの概要と共に、その対策についても解説しています。
レピュテーションリスクとは
レピュテーションリスクとは、いわば企業やブランドに対する評価や評判が悪化してしまうリスクのことです。消費者は、実際に消費行動を行う際に商品やサービスを提供している企業の評判を参考にしていると考えられています。
例えば、ECサイトで商品を購入する際にレビューを確認したり、就職活動中に社員クチコミサイトなどで企業の実態を確認するといった行動は容易に想像できるでしょう。消費者の評価が高いほど商品やサービスが売れやすくなります。同じように、社員クチコミの評価が高いほど安定して良い人材(従業員)を確保することができます。逆に評価が低いと、あらゆる面で悪影響を及ぼし、経営状況は悪化していきます。
レピュテーションリスクの重要性が高まったのは、ここ数年のことです。言うまでもないですが、SNSの普及によって企業に対する悪い評判は簡単に拡散できるようになり、さらに、その情報の拡散スピードも格段に上がったことが原因です。このような社会状況の変化によって、大企業だけではなく、中小企業にとってもレピュテーションリスクは無視できないほど重要なリスクとなっており、適切な管理や対策が必要となっています。
レピュテーションリスクの発生原因と対策
レピュテーションリスク、つまり会社の評判や評価に重大な影響を及ぼす出来事はなぜ起こるのでしょうか。一言でレピュテーションリスクといっても企業の評判に悪影響を及ぼす出来事は様々な原因によって発生します。
それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。
従業員の不祥事
社員やアルバイトなど従業員の不祥事が原因となってレピュテーションリスクが発生することがあります。最近増えてきているのが、いわゆるバイトテロです。バイトテロとはアルバイト店員が商品や什器を使用して悪ふざけを行う様子を撮影し、その写真や動画をSNSに投稿する行為のことです。
この行為が、例え雇ったばかりのアルバイトであっても、雇用主である企業の責任は問われ、評判を大きく落とすことになります。それが、謝罪や釈明に追われる時間を浪費し、社会の信用は失墜し、業績の不振ひいては資金調達の難航による更なる業績悪化に繋がっていくのです。
また、バイトテロのほかにも、社員や外部の出入り業者などによる顧客情報の流出、社内のパワハラやセクハラなどの不適切な行為によっても引き起こされます。
このような社員の不祥事が発生する背景には「社内教育の不徹底」があります。社員ひとりひとりがモラルをもって仕事をするために社内規定を整備し、教育体制を整え、違反者は厳罰に処すなどの対応が必要です。もちろん、経営者自身が社員の模範になるべき存在となることを決して忘れてはいけません。
組織全体の体質
会社の組織として、コンプライアンス違反の意識が低いことが要因となることがあります。例えば、会社ぐるみで脱税が行われている、社員の長時間労働など社員の違法な働き方を会社が黙認しているといったケースです。内部告発や退職した社員などが、SNSやネットの掲示板で被害報告を行って判明することがあります。
組織体質に問題がある場合、レピュテーションリスクへの対策は、非常に難しいと言えるでしょう。なぜなら、その会社にとっては、ルールを守っていないことが当たり前となっており、多くの場合、自浄能力を失っているからです。しかし、大きな不祥事が起こってから対策をとるのでは遅きに失します。会社が守るべき会計や労務などのルールの法令の順守がされているか、社員へのハラスメントが行われていないかなど、第三者の監視の目を入れて、組織体質のチェックをしましょう。皆さんの会社の常識が、社会全体の常識とはかけ離れている可能性を認識しましょう。
消費者の反応
TwitterやInstagramなどのSNSが普及したことによって、商品やサービスの内容に関する消費者の反応がダイレクトに拡散するようになりました。Amazonで商品を購入する人や初めて行く店舗について、レビューや口コミを参考にしない人はほとんどいないでしょう。ネガティブな口コミが大量に投稿された結果、客足が激減した飲食店も実際にあります。
消費者の反応は違法行為ではなく、公平な判断の結果です。コンプライアンスを順守していたとしても、商品やサービスの質が消費者を満足させるものでないと、レピュテーションリスクが具体化する恐れがあります。ネガティブな反応をゼロにすることは難しいですが、常日頃から商品開発やサービスの質向上の取り組むことで限りなくゼロに近づけることは可能です。消費者が何を評価しているのか常に意識して、消費者に満足してもらえる体制づくりに努めましょう。
レピュテーションリスクへの対策を整備しよう
レピュテーションリスクをゼロにすることは難しいですが、適切な情報開示や社員教育、会社組織の客観的なチェックなどを通じて、そのリスクを小さくすることは可能です。この記事を読んでレピュテーションリスクについて理解した経営者の皆様は、レピュテーションリスクを正しく認識し、会社の信用を守るための取組を始めてみましょう。
今回はここまで。
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