起業家に伝えたい大切なこと

自分でできる経営・管理ビザの申請方法

起業家バンク事務局

2022.11.22

「経営・管理ビザ」とは、外国籍の人が日本で事業の経営者・管理者として活動をするために必要な在留資格の1つです。2015年に「投資・経営ビザ」から改正されて生まれた比較的新しいビザとなります。この記事では、自分で経営・管理ビザの申請ができるよう申請手順について解説します。なお、申請手順は、申請人が他の在留許可を所有しておらず新たに経営・管理ビザを申請する場合の手順となります。

申請に必要な3つの要件

以前は外国からの投資が必須の要件でしたが、現在は撤廃されました。今は、許可を受けようとする人が、以下の3つの要件にすべて該当していることが新たな要件となりました。

事業所の所在地

申請する事業を行う事業所が日本に存在する、または事業所として使用する施設が日本国内に確保されている。

事業規模

申請する事業の規模が次のうち、いずれかを満たしている。
・その事業を経営・管理する人以外に日本国内に居住する2人以上の常勤職員がいる
・資本金または出資の総額が500万円以上ある
・上記に準ずる規模である

経営者

申請人が事業の管理に従事する場合には、事業の経営・管理について3年以上の経験(大学院での経営・管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受ける。

投資の条件がなくなりビザを申請しやすくなったとはいえ、申請にはまだ高いハードルがあります。
しかも時間やお金をかけて準備し申請しても、必ず在留許可がもらえるとは限りません。許可率を上げるためにも、慎重に申請手続を進める必要があります。
【参考|出入国在留管理庁「該当する活動・上陸許可基準」

具体的な申請手順

手順①
事業がどのカテゴリーに属するか確認する

経営・管理ビザの申請に必要な書類は事業形態によって異なります。
まずは、ご自身の事業がどのカテゴリーに該当するか確認しましょう。
【引用・参考|出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」

カテゴリー1

  1. 日本の証券取引所に上場している企業
  2. 保険業を営む相互会社
  3. 外国の国又は地方公共団体
  4. 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
  5. 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)
  6. 一定の条件を満たす企業等

カテゴリー2

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収額が1000万円以上ある団体・個人

カテゴリー3

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4

カテゴリー1~3のどれにも該当しない団体・個人

手順②
【全カテゴリー共通】経営管理ビザ申請に必要なものを知る

ご自身が申請しようとしている事業のカテゴリーが分かったら、そのカテゴリーに必要な書類等を準備します。
以下は、カテゴリー1~4のいずれであっても必ず提出しなければならない共通書類となります。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真
  • 返信用封筒(宛先を記入し404円分の切手を貼付)

上記に加えて、どのカテゴリーに該当しているかを証明する文書を提出する必要があります。
例えば、カテゴリー1に該当する場合には「四季報の写し」や「主務官庁からの設立許可を証明する文書」などを提出します。カテゴリー2や3に該当する場合には「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し」などです。提出できる書類がない場合にはカテゴリー4に該当するとみなされます。

カテゴリー3と4に該当する場合には、さらに追加書類が必要となります。
出入国在留管理庁のホームページを確認し、不足のないよう準備しましょう。

手順③
在留資格認定証明書交付申請書を記入する

ここでは、全カテゴリーに共通して必要な「在留資格認定証明書交付申請書」の書き方を解説します。様式は全国の地方出入国在留管理局にて取得できるほか、ホームページからもダウンロードできます。
【在留資格認定証明書交付申請書PDFExcel
申請書は全部で3枚ありますので、すべてもれなく記入しましょう。

1枚目|申請人等作成用1

1枚目には、経営・管理ビザを取得しようとする人の基本情報を記入します。パスポートなどの公的書類の表示通りに書くようにしてください。

12 入国予定年月日

予定が決まっている場合にはその日付を記入します。許可がもらえたらすぐに入国したいという場合には、「許可下り次第」と記入しましょう。

14 滞在予定期間

具体的に決まっている場合にはその期間を記入しましょう。未定の場合は「長期」などと記入するといいでしょう。

なお、貼付する写真にも規格があります。
【参考:出入国在留管理庁|提出写真の規格
規格外の写真を貼付すると再提出となりますので、規格を満たしているかどうか貼付前に確認してください。

2枚目|申請人等作成用2

2枚目には、日本での勤務先やこれまでの学歴や職歴を記入します。
ここで冒頭に説明した申請要件を満たしているかを改めて確認しましょう。

25 事業の経営又は管理についての実務経験年数

申請要件の「事業の経営・管理について3年以上の経験を有する」に対応しています。3年未満の場合は申請要件を満たさなくなるので注意しましょう。

27 申請人、法定代理人、法第7条の2の第2項に規定する代理人

実際にこの申請書を出入国在留管理局に提出する人を記入します。本来は申請人本人が提出しますが、申請人が日本国内にいないケースが多いため、代理人による申請が認められています。代理人は法定代理人のほか、申請人を受け入れる企業・組織の職員も該当します。代理人が申請する場合は、末尾の署名も代理人の氏名を記入しましょう。

3枚目|所属機関等作成用1

3枚目は、申請人の日本での所属機関が作成する書類です。
勤務先となる企業の情報を記入します。

3 勤務先

所属機関の実態や企業規模をチェックされる箇所です。その中でも(7)資本金と(11)常勤従業員数は、申請要件の「その事業を経営・管理する人以外に日本国内に居住する2人以上の常勤職員がいる/資本金または出資の総額が500万円以上ある」にかかわる項目ですので、どちらかの条件を満たしているか確認しましょう。
いずれも満たさない場合には、他の方法で企業規模を証明しなければなりません。

7 給与・報酬

申請要件の「日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受ける」を満たす内容となっているか確認しましょう。

3枚目は所属機関の代表者が署名してください。

経営・管理ビザ申請時の注意事項

今回ご紹介したのは、経営・管理ビザの新規申請です。申請人(外国人)は他の在留許可を持っていないため、代理人が申請を行う場合がほとんどでしょう。その場合、代理人は申請時に身分を証する文書(会社の身分証明書等)」と「国内の事業所の設置について委託されていることが分かるもの(契約書等)を確認されますので忘れずに持参しましょう。
また、提出した資料は返却されないため、必要なものは自身で必ずコピーをとっておいてください。

なお、すでに何らかの在留許可(就労ビザなど)を持ち日本に居住している人が、経営・管理ビザを取得しようとするときは「在留資格変更許可申請」となります。大まかな手順は新規申請と同じですが、申請書や提出書類が異なりますので出入国在留管理庁のホームページを確認してください。

まとめ

経営・管理ビザは他の就労ビザに比べて、必要書類が複雑でわかりにくいと言われています。しかし、今回ご紹介した手順に沿ってご自身が準備すべき書類を確認すれば、申請は決して難しくはありません。

また、申請書の書き方や必要書類等については「外国人在留総合インフォメーションセンター」へ電話して質問することができます。日本国内からはもちろん、海外からの電話も受け付けていますので、申請前に疑問点を解決できます。

この記事が、経営・管理ビザをスムーズに申請し取得する助けになれば幸いです。

今回はここまで。
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