起業家に伝えたい大切なこと

起業する主婦が知っておきたい130万円の壁

起業家バンク事務局

2022.12.22

家事や育児の合間に、ハンドメイド作家やwebライターとして起業し収入を得る主婦の方が急速に増えています。なかには、月商50万円、100万円に達する人もいるようです。

もし今あなたが夫に扶養されていて、これから起業しようと考えているのであれば、知らずに仕事を続けてしまい世帯収入が減ってしまうこともあります。そうならないためにも、130万円の壁についてぜひ理解を深めておきましょう。

130万円の壁とは?

130万円の壁とは「社会保険における扶養の壁」です。社会保険とは国が運営する総合保険のようなもので、一般的には「健康保険と年金保険」のことを指しています。

この130万円の壁が、社会保険における扶養が認められるかどうかの境界線になります。つまり、収入が年間130万円を超えると扶養家族から外れてしまい、ご自身で国民健康保険料と国民年金保険料を支払うことになります。年間130万円というと多く聞こえるかもしれませんが、1ヶ月あたり約10.8万円。誰もが到達しうる金額です。

世帯収入への影響

扶養に入っている間は、妻の社会保険料の支払いは免除されています。起業での収入が130万円の壁を超えると、妻は国民健康保険料と国民年金保険料を自分で支払わなければなりません。

国民健康保険料はお住いの市区町村によって金額が異なりますが、おおよそ月額1万円です。国民年金保険料は所得や年齢に関わりなく、月額16,590円(令和4年度)です。つまり夫の扶養から外れることで、年間約32万円の支出が新たに増えることになるのです。

130万円の壁を超えなくても扶養に入れないケース

130万円の壁を超えていない=必ず扶養に入れる、というのは誤りです。次のケースでは、収入がいくらであっても夫の扶養に入ることはできません。

①妻の収入が、夫の収入の1/2以上(同一世帯でない場合は仕送り額以上)であるとき

妻の収入が130万円未満であっても、夫の収入の1/2以上(非同一世帯の場合は仕送り額以上)になると、妻の収入で生計が維持できると判断されてしまいます。扶養とは生計を維持できない親族等をサポートする制度ですので、「生計が維持できる=扶養に入る必要性がない」と判断されます。

②全国健康保険協会(または健康保険組合)の認可が得られないとき

130万円の壁を超えていなくても、所属する全国健康保険協会(または健康保険組合)の判断で扶養に入れないケースがあります。収入の計算方法を独自に定めていたり、「収入額を問わず個人事業主は被扶養者にはなれない」と定めていたりするところがあるためです。

③法人を設立したとき

法人を設立したら、社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入する義務があります。
個人事業ではなく法人事業を開始する場合は、収入の額にかかわらず夫の扶養から外れてしまうのです。

他にもある「〇〇円の壁」

130万円の壁以外にも、103万円の壁、106万円の壁、150万円の壁と呼ばれるものがあります。それぞれどのような意味があるのか、起業する主婦にとって、どんな影響があるのかをひとつずつ解説します。

「103万円の壁」は給与所得者が気をつけるべき所得税の壁

103万円の壁とは「税金(所得税)の壁」です。たとえば妻がパートをするとき、103万円を超えて給与をもらうと所得税がかかります。所得税は、給与収入から保険料などを控除した後の手取り収入に所定の税率をかけて決められます。

①給与収入-②控除額=③手取り収入

上記の、②控除額は103万円(給与所得控除55万円+所得税の基礎控除48万円)ですので、①給与収入が103万円を超えると所得税が発生します。しかし、103万円の壁は雇用主から給与をもらっている人に適用される壁なので、起業する人には影響しません。。ちなみに住民税の場合は、給与が100万円を超えると発生するため、「100万円の壁」とも呼ばれます。

「150万円の壁」「201万円の壁」は夫の配偶者特別控除の額に影響する

夫が配偶者特別控除を受けている場合には、「150万円の壁」「201万円の壁」にも注意しましょう。

配偶者特別控除とは、妻の収入が201万円以下であれば、夫が38万円の控除を受けられるといった制度です。妻の収入が150万円を超えると段階的に控除額が減っていき、夫の手取り収入も減少していきます。そして201万円を超えると配偶者特別控除は完全に適用されなくなります。

配偶者特別控除を受けたい場合には、「150万円の壁」「201万円の壁」を意識する必要があります。

「106万円の壁」は起業する主婦には関係ない

「106万円の壁」は、大企業に勤めているパートタイム労働者が社会保険に加入するときの収入要件です。妻が自分で事業をスタートするのであれば、気にする必要はありません。

「48万円の壁」は所得税が発生する境界線

起業する人にも所得税の壁はあります。自分で事業をする人の場合、基礎控除の「48万円」が所得税の発生する境界線になります。起業する段階では、壁を越えないように働くか、壁を気にせず事業を拡大していくのかは悩ましいところでしょう。

まとめ

たくさんある「〇〇円の壁」ですが、起業する主婦が気にするべきは「130万円の壁」です。1年間の収入が130万円を超えると、夫の扶養から外れ、自分で保険料を納めなければなりません。

130万円を超えたからといって自動的に扶養から外れるわけではありませんが、最近では妻の所得を確認するため、夫が会社から「所得証明書」の提出を求められるケースが増えています。また、2017年(平成29年)の確定申告からマイナンバーの届出が必要となり、所得と個人情報の紐づけが強化されました。

起業しても扶養内で働くかどうかをよく考えて選び、一定の所得を得たときには忘れずに確定申告を行うようにしましょう。

 

今回はここまで。
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