起業家に伝えたい大切なこと

起業を目指す看護師に伝えたい事業承継による起業

起業家バンク事務局

トラブル回避

看護師という仕事は、私たちの社会において非常に大切な役割を果たしています。しかし、その一方で、人間関係のストレス、ワークライフバランスの取りづらさなどから、心身に負担を感じている方も多いようです。多くの方が「もっと自分らしい人生を送りたい」と、起業を選択肢の一つとしてとらえ、起業家バンクへの相談件数も増えています。

ここでは、起業を視野に入れている看護師の方々に向けて、実際に看護師から起業に成功した事例に基づき、いくつかヒントとなる情報をお伝えしたいと思います。

看護師の知識や経験を活かせるビジネス

看護師から起業に成功した事業のうち、まず、看護師の専門知識や経験を活かしたビジネスから紹介します。なお、実際の起業には一定のリスクが伴うため、いきなりすべてを投げ打って起業に踏み切るのは不安が大きいという人は、 看護師の仕事を続けながら、副業として事業を始めるのも一つの方法です。これまで起業した看護師の方も、フリーランス看護師として短時間・短期間の仕事を受けながら、起業を成功させたケースも少なくありません。

1. 訪問看護ステーション

看護師のスキルを活かせる起業で最も多い業種が、やはり「訪問看護ステーション」と言えるでしょう。在宅ケアを必要とする患者の自宅で医療ケアやリハビリテーションを提供する事業です。高齢化社会の進展に伴い、在宅医療のニーズが増加していることから、今後も需要は拡大していくでしょう。

しかし、運営には医療機関との連携、スタッフの確保が必要で、一人でできる仕事ではなく、人間関係のストレス、ワークライフバランスの難しさから完全に解放されるわけではありません。上手く運営できれば長期的に安定した収益を得ることは可能ですが、他の訪問看護ステーションとの競争もあり、運営負担が大きい点にも注意が必要です。

それでも、自分が代表者として仕事をコントロールできるため、勤務者の立場より自分らしく働くことはできるでしょう。また、地域に貢献していることを実感しやすく、患者から直接的に感謝の言葉を頂くことも多いので、仕事にやりがいを感じることができます。

2. 介護施設・デイサービスの運営

高齢者や障害者向けの介護施設やデイサービスの運営も、看護師としてのスキルを活かせる業種です。認知症ケアやリハビリテーションに特化したサービスは特に需要が多く、今後も需要拡大が見込めます。地域に密着したサービスで利用者やその家族との信頼関係を築くことで収益性が高まります。

しかし、介護施設やデイサービスも一人でできる仕事ではなく、通常、訪問看護ステーションよりも競争が激しいため、運営負担は大きいといえます。一方で、訪問看護ステーションと同様、自分で仕事をコントロールできるため自分らしく働くことはできますし、仕事にやりがいを感じることも多いでしょう。

3. 健康関連商品のオンラインショップ

健康食品、サプリメント、健康グッズなど商品を取り扱うオンラインショップを運営するビジネスです。看護師のバックグラウンドを活かしたビジネスモデルとして有望で、「看護師推薦」のような信頼性の高いブランドイメージを構築することができます。

健康意識の高まりに伴い、栄養補助食品、体調管理や健康増進に役立つ健康グッズの需要が増えています。自社ブランドでOEM製造を行っている方も多く、大手のECモールを活用してネット販売を行うことで、広範囲な顧客層にアプローチできます。

Amazonや民間物流センターのフルフィルメントサービスを利用することで、一人で運営することが可能なので、人間関係のストレスを感じることなく仕事ができます。また、自由に働きやすい業種なのでワークライフバランスも確保しやすいでしょう。

課題は、EC販売、インターネット広告、類似商品調査などのマーケティングに関するスキルを身に付ける必要があることです。オンラインショップは看護師として勤務しながら始めることもできるので、まずは副業から初めて、軌道に乗ったら本業にするという人も多い傾向があります。

4. フィットネスジム

健康増進を目的としたフィットネスやウェルネス施設の運営も、看護師としての知識を応用できる業種です。近年、医療とフィットネスを融合させたメディカルフィットネスが注目されています。高齢者向けの運動プログラムやリハビリテーションを含むサービスを提供することで、独自の価値を提供できます。運動と健康管理を組み合わせた指導が求められるため、看護師としての経験を活かしやすいでしょう。

課題は、実際の運動プログラムメニューを作ることです。多くのケースで、メニューは専門のトレーナーに外注して完成させています。また、出店場所の確保も課題になります。主要なターゲットは高齢者層が中心となるので、ある程度利便性の良い場所に開設する必要があるでしょう。

フィットネスジムもオンラインショップと同様、看護師の仕事を続けて収入の安定を図りつつ起業することで、起業のリスクを軽減することができます。具体的には、週末に貸スタジオなどでメディカルフィットネスジムをスタートさせ、徐々にビジネスが軌道に乗ってきたら、本格的にシフトチェンジしてもいいでしょう。

5. インバウンド関連業

看護師の専門知識とスキルを活かして、インバウンド(訪日外国人旅行者)を対象としたビジネスを展開している方も多くいます。日本の高品質な医療サービスを求めて来日するメディカルツーリズムは海外で根強い人気があり、看護師の専門知識を活かし、専門コーディネーターとして活動することになります。具体的には、診療科の選定や病院の紹介、治療費の見積もり、通訳・翻訳サポートなど幅広いサービスに対応することになります。

課題は、医療機関や旅行会社との提携や通訳・翻訳のスキルが必要になることです。外国語に明るければ始めやすいビジネスと言えますが、そうでなければ、少しハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、メディカルツーリズム以外でも看護師としての知識と経験を活かせるインバウンド関連ビジネスは多岐にわたります。日本の医療・健康サービスの質の高さを武器に、インバウドに向けた専門性の高いサービスを提供することで新たなビジネスチャンスを見つけられるでしょう。

6. コンサルティング業

上記までのビジネスと比べて数としては圧倒的に少ないものの、コンサルティング業で活躍されている方もおられます。大まかに分類すれば、個人の健康管理をサポートするパーソナルヘルスコンシェルジュ、オンラインの健康相談やカウンセリングサービス、企業向けの健康管理コンサルティングといった事業です。看護師の資格を活かして健康管理や生活習慣の改善に関するアドバイスを行う業務が大半で、初期投資も比較的少なく始められます。

課題は、コンサルティング業全般に言えることですが、クライアント(顧客)を確保をするための仕組みづくりが大変です。顧客対応力、営業力などが必要となり、顧客を確保して安定収入を得るまでの過程で苦労するかもしれません。

看護師の資格にこだわらない起業をするなら

看護師の資格は大変貴重ですが、それに固執する必要はありません。看護師としての経験を活かしながらも、 まったく異なる分野で経営者としてのキャリアを積む人も少なくありません。起業を考える際には、自分の強みや興味を最大限に活かせる業種を選ぶことが重要ですが、看護師としての経験や知識は、新しいビジネスの可能性を広げるための大きな武器となり無駄になりません。医療や健康関連の分野に限らず、他業種でも活躍できるチャンスはとても多いといえるでしょう。

近年は、「後継者のいない事業を引き継いで起業する」という選択肢も注目されています。また、政府も中小企業の事業継承問題を解決するために「事業承継・引継ぎ支援センター」という公的窓口を設立し、新たな経営者を探す取り組みを強化しています。このような動きが、看護師の新たなキャリアや起業のチャンスと結びついています。

ここでは、「後継者のいない事業を承継して起業を目指す看護師」に向けて、事業承継の具体的な方法や、事業承継・引継ぎ支援センターの利用方法について分かりやすく解説します。

事業を承継して起業をするとは?

事業承継とは、現経営者から新たな経営者に事業を引き継ぐことを指します。日本では、非常に多くの中小企業が後継者不足の問題に直面しており、たとえ儲かっていても廃業を余儀なくされるケースは少なくありません。後継者不足による廃業は、今や日本が抱える大きな社会問題に発展しています。そこで、起業意欲のある外部の人材がその事業を引き継ぐことで、新しいビジネスの形として再生させることが期待されています。

事業承継・引継ぎ支援センターとは?

事業承継・引継ぎ支援センターは、全国の都道府県に設置された公的機関で中小企業の事業承継を支援するための公的な相談窓口です。事業引継ぎ支援センターを利用することで、スムーズな事業承継が可能となり、看護師としての経験を活かせる事業についても相談ができるでしょう。

事業承継・引継ぎ支援センター:
https://shoukei.smrj.go.jp/human_resources_bank.html

事業承継・引継ぎ支援センターでは、事業承継に関するさまざまな支援を行っており、主な以下のような役割があります。

事業承継に関する情報提供

譲渡希望の事業者と引き継ぎ希望者を結びつけるマッチング支援

事業承継に必要な法務・税務・財務に関する専門家の紹介

事業承継のプロセス全般における手続きのサポート

看護師が事業承継をするメリット

看護師が事業承継によって起業する主なメリットは次のとおりです。

地域医療・福祉のニーズに応えられる

看護師は医療や介護の現場で直接患者と接する経験を持ち、その地域でのニーズを深く理解しています。地域密着型の事業を引き継ぐなどで、医療や福祉の目線から、より適切なサービスを提供することができます。

安定した収入基盤の確保

新規にビジネスを立ち上げるよりも、既存のビジネスを引き継ぐことで、既に確立された経営基盤を活用することができます。既に基盤が存在するので、新規に起業するよりも初期の不確実性が低く、初期段階でのリスクを大幅に軽減することができます。

既存の顧客や取引先との関係を活かせる

既存のビジネスには既に顧客や取引先が存在し、長年にわたる信頼関係が築かれています。これをそのまま引き継ぐことで、新たなビジネスもスムーズに運営を開始することができます。すでに整ったビジネスノウハウもあり、それを最大限活用できることは大きなメリットと言えます。

事業引継ぎのプロセスと手続き

事業承継を進めるには、いくつかのステップがあります。事業承継・引継ぎ支援センターのサポートを活用することで、これらのプロセスをスムーズに進めることができます。

1. 事業承継・引継ぎ支援センターに相談する

まずは最寄りの事業承継・引継ぎ支援センターに連絡し、無料で相談を受けることから始めましょう。相談は予約制で、対面またはオンラインでの対応が可能です。センターでは、要望や条件に基づいて事業承継の可能性を検討してくれます。

2. 譲渡希望の事業を探す

事業承継・引継ぎ支援センターでは、譲渡希望の事業者リストを提供しており、その中から条件に合った事業を探すことができます。業種、地域、事業規模などの条件を設定して、適した事業を見つけることが可能です。

3. 事業内容の確認とヒアリング

候補となる事業が見つかったら、事業内容の確認とヒアリングを行います。事業の収益状況や従業員の状況、事業の強みと課題を理解し、自分が引き継いだ場合にどのように運営できるかを具体的にイメージしてみましょう。

4. 専門家のサポートを受ける

事業承継には、法務・税務・財務などの専門的な知識が必要です。事業承継・引継ぎ支援センターでは、これらの専門家を紹介してくれます。弁護士や税理士、経営コンサルタントなどと連携して、事業承継の準備を進めましょう。

5. 事業承継契約の締結

事業内容や条件に合意したら、具体的な事業承継契約を締結します。この際、契約書の内容をしっかりと確認し、専門家のサポートを受けながら法的なリスクを回避することが重要です。

6. 事業の引き継ぎと運営開始

契約が締結されたら、実際に事業の引き継ぎを行います。従業員や取引先との引継ぎ作業をスムーズに行い、引継ぎ後の運営計画を実施します。事業の現状をしっかりと把握し、新しい施策を実行しながら、運営を開始しましょう。

看護師が事業承継・引継ぎ支援センターを利用する際の注意点

事業承継・引継ぎ支援センターを活用することで、事業承継のプロセスをスムーズに進めることができますが、以下の点に注意しましょう。

自分のやりたいことを明確にする

引き継ぐ事業が自分のやりたいことや価値観に合っているかをしっかりと確認することが重要です。

リスクを十分に理解する

新規の起業ほどではないにしても、事業承継にもリスクがあります。専門家のサポートを受けながら、可能な限りリスクを洗い出して、対策を講じることが必要です。

従業員との信頼関係を築く

従業員がいる場合、従業員との関係構築は、新たな経営者としての重要な責務です。コミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことで、スムーズな事業運営が可能となります。

資金計画をしっかり立てる

事業承継には資金が必要です。引き継ぐ事業の規模にもよりますが、少なくても数百万円単位になると見込まれるので、自己資金が不足する場合は、金融機関からの融資や助成金の利用を含めた資金計画を立てることが必要です。

起業家バンクでも資金調達アシスタントというサービスを提供しています。資金調達だけではなく、事業承継やリスク分析など、起業に関する様々なご相談に匿名でも対応しているので、ご関心があれば、ぜひご登録ください。

資金調達アシスタント:
https://www.kigyouka-bank.com/assistant/

最後に

看護師として働き続けることに不安や疲れを感じているなら、無理をして働き続けることが必ずしも最善の選択肢ではありません。一度きりの人生、自分が本当にやりたいことを見つけ、それに向かって勇気を持って一歩踏み出すことも大切です。

看護師として得た経験やスキルは、医療現場だけでしか生かせないものではありません。人と接する力、危機管理能力、チームで働くスキルなど、これらはどの業界でも重宝されるものです。看護師の目線を持ちつつ、後継者のいない事業を引き継ぐことは、新しいキャリア形成にも社会貢献にも繋がります。

今後のキャリアに迷いを感じている看護師の皆さんにとって、この選択肢が新しい可能性を広げる一助となれば幸いです。ぜひ、自分に合った事業を見つけ、新たな一歩を踏み出してください。

 

今回はここまで。
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この記事を書いた人

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