補助金や助成金の申請を考えたとき、多くの中小企業や個人事業主の方々が、様々な要件や条件、書類作成の手間に圧倒されることがあります。しかし、これらの補助金や助成金が、事業の成長にとって重要であることは間違いありません。特に新しいビジネスのアイデアを実現したい場合や、既存のビジネスの成長を加速させたい場合にとって、補助金の活用は非常に有益です。

実は、これらの補助金申請を有利に進める手段の一つとして「経営革新計画」という制度があります。今回は、経営革新計画が補助金申請にどのように有利に働くかについて詳しく解説します。

経営革新計画とは

会社を経営していると、「売上を伸ばしたい」、「新しいサービスを始めたい」、「業務の効率化を図りたい」など、成長や改善を目指す様々な計画が浮かんできます。しかし、こうした目標を達成するためには資金が必要ですし、計画の立て方や進め方も簡単ではありません。そんなときに活用できるのが「経営革新計画」です。

経営革新計画は、企業や個人事業主が自らの事業の成長や改善を目指して策定する計画で、主に中小企業が利用することを想定しています。都道府県単位で主催されており、計画を立てて都道府県の承認を受けることで、資金面や支援制度の面で様々なメリットが得られるようになります。例えば、「新しい商品を開発したい」、「新しい市場に参入したい」といった具体的な目標を設定し、その達成方法を計画に落とし込むことが求められます。こうした計画を立てることで、ただの「夢」が具体的な「目標」へと変わり、それを後押しする支援が得られるのです。

経営革新計画が補助金申請に有利な理由

経営革新計画の認定者のみが受けられる補助金がある

都道府県や市区町村は、それぞれの地域経済を活性化させるために独自の助成金や補助金を用意しています。自治体によって大きく支援制度は異なりますが、実際に、「経営革新計画」に承認された企業のみを対象とした補助金・助成金制度が存在します。この制度は、地域の中小企業や個人事業主が新しい挑戦をするときに、資金的な援助を通じて地域全体の経済発展に貢献することを目的としています。

地元の自治体が設けている補助金・助成金制度ですので、「ライバルが非常に少ない」＝「採択率が高い」という点が最大の特徴です。補助金・助成金だけではなく、自治体ごとに様々な資金支援制度が存在していますので、まずは地元の商工会議所や中小企業支援センターに相談してみるのも良いでしょう。実際に、「計画を立てることで、これだけの補助金・助成金を得られるなんて…」と、驚かれる事業者も少なくありません。

国の補助金における加点制度

国から提供される補助金の多くは、加点制度が組み込まれており、様々な条件を満たすことで、審査時にプラスの評価がつけられる仕組みがあります。例えば、事業継続力強化計画、一般事業主行動計画などを作成して認定を受けていれば、他の事業者に比べて優遇します、といったことがあるのです。そして、この加点の条件の一つに、「経営革新計画の承認を受けていること」といった条件が設けられることがあります。

経営革新計画が加点の対象となる理由は、新しいビジネスの実現に向けた具体的な計画を持ち、国としても支援する意義があると見なされるためです。経営革新計画の承認は、他の計画書と比べて難しいため、他の計画よりも優位に働くケースことが多い傾向にあります。

国の補助金を利用する際は、他の事業者との競争が激しくなるため、加点制度の活用は非常に重要です。経営革新計画に承認されることで「他社と差別化できる」と言っても過言ではありません。高額な補助金など、少しでも有利に補助金を獲得したい事業者にとっては、この加点が決め手となることもあります。

経営革新計画の流れ

経営革新計画を活用するためには、まずは経営革新計画書を策定し、自治体などの窓口に提出して各都道府県知事などの承認を受ける必要があります。以下に一般的なステップを示します。

経営革新計画書の作成

新商品の開発、サービスの提供など、具体的な目標と実行計画を設定します。計画内容は明確で実現可能性のあるものが求められます。まずは自社が実現したい具体的な目標を明確にし、それを達成するための実行計画を立てましょう。これには、事業の目的、新規事業の内容、目標達成に必要なステップなど、具体的に記述することが求められます。どのような施策を打つのか、具体的な数値目標や期待される成果などを明確にすることが重要です。

計画の申請

計画を立てたら、地元の商工会議所や自治体に相談し、管轄の都道府県に提出しましょう。多くの場合、地域の中小企業支援センターや経済産業省の地方事務所がサポートを行っています。計画の内容が適切であり、地域経済や自社の成長に対して実効性があると判断されれば、都道府県での審査過程に進みます。

承認の取得

審査を通過すれば、経営革新計画が承認されます。この承認は自治体や国からの信頼の証でもあり、事業の信用度も向上します。承認を受けることで、補助金申請時に優遇措置を受けることが可能となり、また、承認を得た計画に基づいて実際に事業を行うことで、さらに他の補助金へのアクセスが広がることになります。

経営革新計画承認のメリット

補助金の採択率を向上させるための加点制度などのメリットはもちろんのこと、経営革新計画承認のメリットは他にもあります。例えば、公的金融機関からの低利融資や各自治体の支援プログラムなどに参加できるなどです。都道府県単位で実施されていることから、支援策はそれぞれの都道府県によって大きく異なります。

経営革新計画のデメリット

メリットの多い経営革新計画ですが、デメリットもあります。そのデメリットは、経営革新計画を作成するために時間と労力を要することです。また、承認を得るための審査も厳しく、全ての計画が認められるわけではありません。しかし、計画的に資料を作成するなど、時間と労力を無駄にしない対策はあるので、それほど大きなデメリットではないかもしれません。

まとめ

経営革新計画を承認されることは、補助金申請にとって非常に有利です。地域ごとの補助金制度や国の補助金の加点制度を活用することで、企業の成長を後押しすることができます。特に、新規事業や革新性のある計画を考えている場合には、経営革新計画を活用することは賢明な選択となるでしょう。

承認を受けるためには一定の努力が必要ですが、それによって得られるメリットは大きく、長期的な成長を目指す企業にとっては大きな力になります。事業運営にあたり補助金の活用を考えている方は、ぜひ経営革新計画の申請を検討してみましょう！