企業に所属しながら起業に挑戦!出向起業補助金
近年、日本の経済社会は多様な働き方や新規事業創出を求められる時代に突入しています。これに応えるために経済産業省は「出向起業」支援の一環として補助金制度を設け、企業内人材の新しい活躍の場を創出する取り組みを進めています。本記事では、この出向起業の補助金制度について、制度の目的や仕組み、利用例、注意点などを詳しく解説します。
1. 出向起業補助金とは
これまで大企業等の中で十分に活用されてこなかった経営資源の解放を促し、新規事業に係る多様な経営人材を育成し、新規事業創造を促進することを目的として「出向起業」または「MBO型企業」を行う事業者を対象に新規事業に係る試作品開発等に伴う経費の一部を補助します。
2. 補助対象枠
補助対象は『一般枠』と『MBO型起業枠』の2枠があります。
一般枠
企業の従業員が自社の通常業務から切り離して自立性及び柔軟性を維持しながら新規事業創造に挑戦する取り組みであって、下記を満たすものが対象者となります。
・新規事業創造を行うために、大企業等に所属する人材が自ら会社を設立し、当該会社の議決権につき、所属企業が有する議決権比率を20%未満とすること。
・大企業等に所属する人材が、自ら設立した会社への出向等によりフルタイムで経営者として新規事業創造に向けた実務に従事すること。
・出向等により従事する経営者が、設立した会社で独立する、または所属企業へ戻す(買収等)選択肢を有すること。
出向起業等を活用して起業したスタートアップとして行う、試作品開発、事業性検証、その他事業拡大に向けた一連の事業開発活動が補助対象事業となります。
MBO型企業枠
大企業等の子会社・ジョイントベンチャー・関連会社等が、経営者や従業員による買収等(=MBO等)を通じて、資本独立したスタートアップとして、新規事業創造に向けた実務を加速・拡大させる取り組みのうち、下記を満たすもの。
・大企業等が新規事業創造を目的として設立した子会社・ジョイントベンチャー・関連会社等であること。
・MBO等により、当該大企業等が保有する議決権比率を20%未満に減少させること。
・MBO等により経営に参画する者に、当該大企業等から出向等をしていた者が含まれること。
MBO等により資本独立したスタートアップとして行う、試作品開発、事業性検証、その他事業拡大に向けた一連の事業開発活動が補助対象事業となります。
3. 対象となる費用
補助金は以下のようなものが補助対象経費となります。
以下の費用は「補助対象外」となる経費です。
– 本補助金の申請書作成に係る費用
– 交付決定日前に発生(発注・契約・利用開始等)した費用
– 事務所借料費、敷金、礼金、その他事務手数料
– 予備品購入費用
– その他JISSUI(執行団体)が補助対象外と判断したもの
4. 申請の流れ
(1) 事前準備
申請には、詳細な事業計画が必要です。まずは以下の準備をします。
・出向の目的や内容を明確にする
・出向先での事業計画を作成
・出向起業に向けた社内調整等
・対象経費の見積書
(2) 交付申請
メールまたは補助金申請システム「Jグランツ」で申請を行います。
(3) 審査と採択
提出された書類を基に基礎項目と加点項目をもって審査が行われ、採択結果が通知されます。
(4) 交付決定
審査の結果、交付申請の内容が適当であると認められた場合、間接補助事業者宛に交付決定通知が送付されます。
(5) キックオフミーティング
交付決定後、速やかにキックオフミーティングが開かれ、交付決定以降の手続きや事業実施方法などについて説明されます。
(6) 補助事業の開始~完了
交付決定通知を受けた日以降に補助事業を開始し、交付申請で掲げた目的と内容が達成された場合や所定の事業期間に達した場合に補助事業を完了させる。
(7) 実績報告~補助金の支払
事業が完了した日から起算して30日以内または定められた期限のいずれか早い日に「補助事業実績報告書」を提出します。
補助事業実績報告書に係る書類審査や現地調査等が行われ、補助金額が確定した後、補助事業者に補助金が支払われます。
5. 採択事例
(1) 地域課題の解決に挑戦するスタートアップ
ある中小企業の社員が出向起業補助金を活用し、地方の過疎地域でドローン配送サービスを開始しました。この事業は、地域の物流課題を解決すると同時に、出向社員のスキルアップにもつながりました。
(2) IT技術を活用した新規事業の創出
IT企業の社員が、補助金を利用してAIを活用した農業支援アプリを開発しました。
このアプリは農業従事者の効率を大幅に向上させ、地域の農業生産性向上に貢献しました。
6. まとめ
経済産業省が提供する出向起業補助金は、出向先で新しいビジネスや環境に触れることで、企業の従業員が成長するとともに、新規事業が地域経済の活性化を促進する重要な制度です。
申請に際しては、具体的な事業計画や必要書類の準備が求められます。申請期間も1ヶ月間と長くないため、前もって準備を進めておきましょう!
今回はここまで。
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