制度融資とは
資金調達先の候補としての「制度融資」というものがあります。この制度融資は起業家や事業者(すでに事業を営んでいる個人事業主や中小企業)にとって利用しやすいのでしょうか。そんな疑問に答えるため「制度融資」を次の5項目で評価しました。
1.調達できる金額
2.金利
3.資金調達の容易さ
4.手元に資金が入るまでの時間
5.手続きの容易さ
評価だけではなく、制度融資のメリット・デメリット、申込時期の目安なども掲載しているので、資金調達をするときの参考にしてください。
制度融資とは
制度融資とは、起業家や中小企業の資金調達を支援するために、都道府県や市区町村が設けた融資制度のことです。自治体(都道府県や市区町村)が直接融資を行うわけではなく、自治体と連携している金融機関が信用保証協会の保証のもとに融資を行います。自治体、金融機関、信用保証協会の
3機関が連携して、起業家や中小企業に融資を行う制度といえます。
信用保証協会とは
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づいて設立された公的機関です。起業家や事業者が金融機関から融資を受ける際、その信用保証を行ってくれます(連帯保証人のようなもの)。当然ですが、誰でも保証してくれるわけではなく、信用保証をするかどうか信用保証協会が審査を行います。また信用保証を行うにあたり、融資額の数%を信用保証料として支払わなければなりません。
3機関の役割
自治体の役割
融資制度の内容は自治体が決めています。また制度融資の多くは、自治体が申し込み窓口となっています。起業家や中小企業から申し込みがあった場合、自治体は連携している金融機関に融資の斡旋をします。
金融機関の役割
実際に融資を実行するのが金融機関です。自治体と連携している金融機関から選ぶので、自分の好きな金融機関を自由に選べるわけではありません。
信用保証協会の役割
金融機関が行う融資を保証するのが信用保証協会です。万が一、返済が滞ったときは信用保証協会が金融機関に代位弁済します。
したがって、信用保証協会が最も大きなリスクを負うことになります。融資の可否は、実質「信用保証協会」の審査をパスできるかどうかで決まります。
制度融資の評価
評価点(★5が最高点)
調達できる金額
★★★★(十分な資金を調達)
金利
★★★★(低金利)
資金調達の容易さ
★★★(普通)
手元に資金が入るまでの時間
★★(やや遅い)
手続きの容易さ
★★(やや複雑)
評価のレビュー
調達できる金額(★4)
制度融資には、起業家向け、海外へ進出する企業向けなど、いくつかの種別に分かれています。その種別によりますが、融資額は、おおよそ数百万円から2,000万ぐらいまでとなります。調達する金額のサイズとしては十分でしょう。
金利(★4)
自治体が推進しており、低金利です。
資金調達の容易さ(★3)
制度融資には審査があります。必要以上に厳しい審査ではないですが、大目に見てくれるわけでもありません。是々非々の審査で難易度は普通です。
資金が手元に入るまでの時間(★2)
申請してから手元に資金が入るまで相応の時間がかかります。
手続きの容易さ(★2)
起業家であれば事業計画書、事業者であれば決算書(確定申告書)が必要です。この他にも様々な書類が求められます。書類の提出負担は大きいといえます。
おすすめ度
資金調達の手段が乏しい起業家にとっては、数少ない資金調達先の一つです。起業資金としては十分な額を、低金利で安心して使うことができます。しかし、制度融資は融資の可否が決まるまで相応の時間がかかるので、すでに事業を行っている事業者からすると、融資の可否がすぐに決まらないと、他に資金手当てをした方がいいのか、資金手当てをしなくてもいいのか、宙ぶらりんの状態が続くことになるため、非常に困ります。
制度融資の資金を当てにしていたのに融資が下りなかった場合、資金ショートを起こすかもしれません。逆に、別の資金手当てをしてしまい、かつ制度融資の資金も入った場合、資金がダブつくうえ金利負担が二重となります。既存の事業者にとっては、資金繰りの計算がしづらいというのが制度融資の難点です。
制度の申込方法
制度融資は自治体ごとに決められているので、自分の所属する自治体に制度融資があるとは限りません。まず自分の居住地(本店住所)の市区町村と都道府県で制度融資が利用できるか確認しましょう。申し込み窓口は「自治体の担当部署」となっているケースが多いです。金融機関に直接申し込むケースもあります。
申込の目安となる時期
資金が必要になる時期の2カ月前までに申請を終えておきましょう。制度融資を利用するには事業計画書や決算書などの書類が必要です。書類に不備がある場合、金融機関・信用保証協会が混み合っている場合は、審査期間が長引くことがあります。
制度融資のメリット
制度融資のメリットは、「低金利である」ことです。各自治体によって金利は多少ちがいますが、おおむね制度融資の金利は1%前半です。信用保証協会の信用保証料も1%ぐらいなので、2%~3%ぐらいで資金を調達することができます。また、<窓口となる自治体や金融機関とのパイプができるので、上手く活用すると情報収集や販路開拓に有効活用できます。
制度融資のデメリット
もっとも大きなデメリットは「資金が手元に入るまでに時間がかかる」ことです。自治体、金融機関、信用保証協会と3機関がからむため、融資の申し込みから資金が手元に入るまで2~4カ月ほどかかります。また、融資の申請書から審査資料まで、さまざまな書類を準備しなければなりません。とくに事業計画書などの審査資料については書けばいいというものではなく、ポイントを押さえて記載しなければなりません。
まとめ
この記事では資金調達の候補先となる「制度融資」について解説しました。制度融資は自治体ごとに定められているので、自分の居住地が属している自治体に制度融資が存在しないこともあります。もし制度融資を行っていれば、ぜひ起業資金や事業資金を調達をするときに検討しましょう。
今回はここまで。
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