飲食店の創業計画書の書き方|日本政策金融公庫
起業家バンクの代表コンサルタントが日本政策金融公庫出身であることから、起業家バンクの設立以降、非常に多くの起業家から「創業計画書(事業計画書)」の書き方を教えてほしいという問い合わせを受けました。そのため、この記事で創業計画書を作るための簡単なポイントをまとめています。
フォーマットは日本政策金融公庫のwebサイトからお借りしています。
今回は “飲食店” の事業計画書の書き方を解説します。
1.創業の動機
2.経営者の略歴等
創業の動機
なぜ起業しようと思ったのか、その想いを正直に記載してください。ストーリーがあると担当者に想いを伝えやすいです。
例えば、
私は専門学校卒業後、洋菓子店に勤務しました。
結婚して子供ができた後、会社を退職しました。
子供が小さいと外出してもくつろげません。私の地元の〇〇市には、東京や大阪にあるようなキッズカフェがありません。
東京や大阪のキッズカフェを参考に、〇〇市初のキッズカフェを作り、ママたちがくつろげる場所を提供したいと思いました。
などです。
下記の「経営者の略歴等」がしっかり書けているなら、前半部分は省略してもかまいません。
単に「昔からの夢だった」「金儲けがしたい」でも良いのですがなぜ今のタイミングなのか、なぜ起業という手段なのか、が明確だと、もっと分かりやすくなります。
経営者の略歴等
大学卒業以降の「会社名」と「どのような仕事をしていたか」を記載していれば問題ありません。記載欄が足りない場合は、直近の会社名、勤務歴が長いもの、を優先的に記載しましょう。
おそらく何らかの経験があって、それが起業する動機につながっているはずです。そこは融資審査のポイントとなるので心の整理をしておきましょう。
過去の事業経験、取得資格、知的財産権等は、該当がある場合に記載します。
3.取扱商品・サービス
取扱商品・サービスの内容
メニューを細かく記載する必要はありません。大きなカテゴリーに分けて記載しましょう。たとえば、ランチ、アフターファイブ、テイクアウトなどのカテゴリーだと、どこの時間帯がメインなのか明確になるので分かりやすいです。時間帯ではなく、フード、ドリンク、物販などのカテゴリーで分けてもかまいません。また、カテゴリー別に、平均客単価を記載しておきましょう。
セールスポイント
飲食店は競争相手の多いビジネスです。数多くある飲食店の中で、自分の店舗がお客さまに選ばれる理由(=強み、競争優位性と言われるもの)を記載してください。
販売ターゲット・販売戦略
販売ターゲットは、サラリーマン、主婦、学生といった属性別の記載でもいいですし、男性50代以降のシニア層、子育てが一段落した主婦層といった階層別の記載でもかまいません。
販売戦略は、商品戦略、価格帯、立地や品揃え、店舗の周知方法などを記載すればいいでしょう。
ちなみに、これらを「マーケティングミックス」と呼びます。
記載欄が限られているので、基本的な事項の記載だけでかまいませんが、実際の経営に関して言えば、ここが最も重要なポイントです。
顧客を創造するプロセス、マーケティングの方法によって、飲食店の起業の成否は決まります。記載欄は小さくとも、しっかり熟考しましょう。
競合・市場など企業を取り巻く環境
業界のトレンドや競合状況を簡単に記載してください。この競合状況も、経営において非常に重要なポイントです。競合店は具体的に店舗名まで把握しておきましょう。飲食店は商圏が限られることが多いので、他店の動向には常に気を配りましょう。
4.取引先・取引関係等
販売先
飲食店の場合、販売先は通常「一般客」になると思います。「3.取扱商品・サービス」の欄でターゲットを記載していない場合は、この欄にターゲット層を記載しておきましょう。飲食店の場合は、通常、販売先が「一般客」となるので、シェアは100%、掛取引の割合は0%(現金商売)となります。回収・支払条件の欄は余白に「現金」と記載しておきましょう。クレジットは「掛取引」扱いになりますが、気にする必要はありません。担当者から指摘されたら補正しましょう。
仕入先
生鮮食品や酒類などの仕入先を記載します。確定していない場合は、予定の事業者名を記載しましょう。融資を申請する段階で仕入先が未定だと格好がつきません。仕入先は必ず記載しましょう。
外注先、人件費の支払い
飲食業で外注を使う機会は少ないかもしれませんが、外注を使う場合は記載してください。人件費の支払いは予定の期日を記載しましょう。
5.従業員
6.お借入れの状況
役員(法人の場合)の人数と従業員の人数を記載します。お借入れの状況は、できる限り正確に記載しましょう。借入金の有無は必ず判明すると考えてください。借入金が多くても正直に記載しましょう。
7.必要な資金と調達方法
作成手順
次の手順で記載すると簡単に表を作成できます。
1.①に初期投資額の「総額」を記載してください
2.②に自分で用意できる資金(自己資金)を記載してください
3.①から②を引いた額が③になります(借入額は妥当ですか?)
4.内装費、厨房機器などの見積書を見て、見積先と見積額を記載してください
5.①から④を引いた額が⑤になります(運転資金は足りていますか?)
計画をたてるときは、1~5を行ったり来たりして調整します。
特に上振れしてしまうのは④の設備投資です。初期投資額の上振れは運転資金を枯渇させてしまうので注意が必要です。
運転資金の目安
ビジネスモデルによりますが、月商3カ月分以上は確保したいところです。
8.事業の見通し
売上高の計算方法
売上高は次の算式で計算してください。
平均客単価 × 1日の客数 × 23日(平日) ・・・①
平均客単価 × 1日の客数 × 8日(土日) ・・・②
売上高=①+②
客数は「席数 × 回転率」を使用すると、さらに良い計画書になります。
物販を扱う場合は、上記に追加してください。
ランチ、アフターファイブともに営業する場合は、時間帯に分けて計算すると、より分かりやすくなります。しかし、あまりに現実から離れている売上予測はマイナス評価となるので注意しましょう。
売上原価・経費の計算方法
ビジネスモデルや取扱商品によって売上原価(原価率)や経費は大きく異なります。店舗の事情に合わせて記載しましょう。創業当初の利益がマイナスになった場合、そのマイナス分をどのように補てんするか検討しましょう。
数字の根拠が正確に分からないときも当然ありますが、その場合は経験則で算出してもかまいません。しかし、数字の根拠が現実から離れ過ぎるのは問題です。通常、金融機関の審査は、同業種をすでに営んでいる他社の統計データと突き合わせながら進行します。数字の根拠を、できる限り明らかにしましょう。
軌道に乗ったとき
経験則で算出してください。正解はありません。
9.自由記載欄
他に記載したいことがあれば追記してください。空白でも問題はありません。
まとめ
事業計画書に書ききれない場合は、自分で追加用紙を用意して提出しましょう。審査担当者は多忙ですので、隅々まで読んでくれるわけではありませんので、事業計画書はできる限り簡潔にまとめ、書ききれなかった場合は口頭で担当者に伝えましょう。
今回はここまで。
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