法人の代表者を連帯保証人から外す3つの方法
中小企業の資金調達方法として、金融機関からの融資が一般的ですが、通常、中小企業が銀行から借入れをするとき、法人の代表者が連帯保証人になります。そのため、中小企業では、ほとんどの借入金に代表者の連帯保証が付いています。
このとき、代表者が何らかの事情で退職することになっても、原則、代表者は連帯保証人から外れることができません。つまり、一度、会社の借入金の連帯保証人になると、その借入金が返済されるまで、代表者に万が一のときの返済義務が残るのです。
ただし、例外があります。
この記事では、その例外といえる「代表者を連帯保証人から外す方法」を3つご紹介します。
なぜ連帯保証人から外れないのか?
まず連帯保証人の法的性質を知っておきましょう。
連帯保証の法的性質
連帯保証契約は、借入れしている法人(債務者)と保証人の間で結ばれるわけではなく、金融機関と連帯保証人の間で結ばれる契約です。融資契約自体は借入する法人と金融機関との間で締結されますが、連帯保証契約は別の契約となっているのです。
主な契約内容は「法人が借入金を支払えなくなったときに、連帯保証人が法人に代わって返済を行う」というものです。実務上は借入金の返済が滞ったときに、連帯保証人である代表者に支払い請求を求めることになります。この場合、経営者の個人資産から返済することになります。
連帯保証人から外れない理由
前述の通り、連帯保証契約は金融機関と連帯保証人の間で結ばれる契約です。何らかの理由があるにせよ、法律上、有効に成立している契約を一方的に破棄することはできません。このことは代表者が退職したとしても同じです。つまり、代表者が法人を退職したかどうかは保証契約に影響しないのです。あくまでも連帯保証人の返済義務が消滅するのは、当該借入金(債務)について全額返済したときになります。
連帯保証人から外れないとどうなる?
連帯保証をしている借入金を払い終えるまで保証契約が継続します。その間、法人が経営難となって倒産した場合、その借入金は連帯保証人が弁済しなければなりません。なお、連帯保証人には催告・検索の抗弁権がありませんので、法律上は法人の返済能力の有無にかかわらず保証契約が成立した時点から債務が返済されるまで連帯保証人も返済義務を負います。
連帯保証人から外れる3つの方法
連帯保証契約は、保証人と金融機関との間で締結された契約なので、双方が合意すれば解約することができます。したがって、法人の承諾がなくても、保証契約を締結している金融機関の承諾があれば保証人から抜けることができるのです。
しかし、金融機関も営利法人です。金融機関は株主や預金者の利益を守る責務があり、一方的に不利な条件を受け入れることはできません。また、金融機関としては融資したお金が返済されることを目的に連帯保証の契約をしているわけですから、金融機関が無条件で解約に応じることはないと考えていいでしょう。したがって、金融機関を納得させることができる条件を提示することが必要です。
では、代表者が連帯保証人から外れるためにはどのような方法が有効なのでしょうか。
連帯保証人を外す方法として、次の3つの方法が考えられます。
方法1.別の保証人をたてる
別の保証人をたてることで連帯保証を外せることがあります。
よくある事例としては、会社の世代交代に際して代表職を辞任するとき、後任となる新社長を連帯保証人にたてるケースです。ただし、新社長が借入金の連帯保証を引き受けても、連帯保証を抜けられるかどうかはケースバイケースです。
現代表者の資産状況、新社長の保証能力、会社の業績、借入金の残高などを総合的に検討して判断されます。また、巨額の設備投資などで長期にわたる返済が必要な場合、返済途中で現代表者の借入責任を免除するのが適切かという問題も残ります。さらに、金融機関によっては新社長の運営能力に疑問をもつ可能性もあります。
方法2.物的担保を提供する
連帯保証は人的担保と言われますが、人的担保を外すため、物的担保を提供することで連帯保証を外せることがあります。金融機関が返済を確実にするためには連帯保証よりも、物的担保の方が有利になる可能性があるからです。
担保の対象となるのは動産、不動産、有価証券といくつかありますが、ほとんどのケースが土地や建物といった不動産になります。どんな不動産でも担保になる訳ではなく、一定の担保価値がある物件でなければなりません。そのため、十分な担保価値がないと、連帯保証が継続することになるでしょう。
方法3.借り換えをする
借り換えに成功すると連帯保証は確実に外せます。ちなみに借り換えとは、金融機関から新たな融資をしてもらい、現在借りている借入金を一括返済するというものです。借り換えは、現在借りている金融機関でも別の金融機関でもできます。
この借り換えが、もっとも負担がなく現実的な方法といえるでしょう。代表者を辞任する場合は、代表者として在籍しているうちに新社長と金融機関の双方に話をつけておき、退職した後に借り換え手続きをするよう促しましょう。
借り換えに応じてもらえない場合
借り換えに応じてもらえない場合はどうすればいいのでしょうか。金融機関によって貸出スタンスは異なりますので、他の金融機関に借り換えを打診してみましょう。借り換えによって金利や返済総額は変わらないかもしれませんが、連帯保証から外れることは間違いありません。
また、融資の返済金には使えませんが、代表者が退職するときは、国の補助金が利用できる場合もあります。国の補助金を利用して経営力の底上げを図ることで、金融機関が借り換えに応じる確度は高まるといえるでしょう。
まとめ
法人の融資の連帯保証人を外れるのは非常に大変なことです。代表者を退職するときは、退職前に事前準備をしっかり行いましょう。会社の業績が良好であれば、新社長とのバトンタッチも容易ですが、業績が振るわなければ、国の補助金などを利用して業績の底上げを図りましょう。
今回はここまで。
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