日本政策金融公庫「新型コロナ対策」無利子融資のまとめ
起業家バンクの代表が日本政策金融公庫の元社員ということもあり、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」についての問い合わせが増えています。
無利子融資という言葉が一人歩きしてしまって、貸付制度について誤解されている方が非常に多いため、詳細をこの記事にまとめることにしました。参考にしていただければ幸いです。
なお、この記事は、2020年4月7日時点の情報となります。
日本政策金融公庫の特別貸付
新型コロナウイルス感染症に対する日本政策金融公庫の融資制度の名称を「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と言います。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化した方が融資の対象となります。
融資の対象者
次の(1)、(2)のいずれかの要件に該当する事業者が、この特別貸付を利用できます。
形式的な要件になりますので、たまたま前年に大きな売上があった場合などでも、要件に該当すれば、この新型コロナウイルス感染症特別貸付の対象となります。
(1)最近1カ月の売上高が、前年または前前年の同期と比較して、5%以上減少している
(2)業歴が3カ月以上1年1カ月未満の場合は、最近1カ月の売上高が次の①~③と比較して、5%以上減少している
①過去3カ月の平均売上高(過去3カ月に、最近1カ月を含んでもOK)
②令和元年12月の売上高
③令和元年10月~12月の平均売上高
融資限度額
融資の限度額は、6000万円です。
もちろん、資金のつかいみちは、新型コロナウイルス感染症の影響に伴って必要になる運転資金や設備資金でなければなりません。
返済期間
返済期間は次の期間になります。
なお、据置期間とは、元金の返済が始まるまでの期間です。たとえば据置期間が3年だとすると、融資の元金返済が3年後から始まることになります。
据置くことができるのは「元金のみ」になるため、利息の支払いは融資直後から始まります。
返済期間
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
利率
政策的な影響を強く受けるため、日本政策金融公庫の利率の決め方はかなり複雑です。
今回の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」については、利率が大きく3つに分かれていると考えましょう。
当初3年間の利率(3000万円以下の部分)
0.4%~0.5% ※利率は毎月見直しがあります
3年経過後の利率(3000万円以下の部分)
1.3%~1.4% ※利率は毎月見直しがあります
3000万円超の部分
2.0%~2.5% ※利率は毎月見直しがあります
無利子ではないのか?
「無利子・無利息ではないのですか?」
こちらが、もっとも多くいただく質問です。日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の利率はゼロではありません。したがって、融資は無利子・無利息ではありません。次に説明する「特別利子補給制度」の要件に該当した人が、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」における、当初3年間の利率(3000万円以下の部分)0.4%~0.5%の利息部分の補てんを受けることができます。
融資を受けておいた方がいいのか?
「新型コロナウイルスの影響を受けていなくても、融資を受けておいた方がいいのか?」
こちらの質問も多くいただきます。どの事業者でも、今後、新型コロナウイルスの影響を受ける可能性があります。資金繰りはできる限り余裕を持っていた方がいいので、融資を受けられる機会があるならば、受けておいた方が良いでしょう。日本政策金融公庫には申込が殺到しており、すぐに融資審査を受けられるわけではありません。
緊急性が高い事業者から優先的に審査が始まると思いますので、事業者側はあまり難しいことを考えず、早めに申込しておきましょう。仮に、新型コロナウイルスが早めに収束し、資金に余裕が出ることがあれば、借入金を一括返済をすればいいだけです。
特別利子補給制度について
特別利子補給制度とは、日本政策金融公庫に支払う利息部分を補てんしてくれる制度です。しかし、現時点で詳細は未定です。この記事では、現在決まっている枠組みを紹介しています。
特別利子補給制度の対象者
日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を受けている事業者で、次のいずれかに該当する方が対象となります。
なお、小規模事業者とは、「卸・小売業、サービス業ならば従業員が5名以下、製造業や建設業など、それ以外の業種は20名以下」の事業者をいいます。中小企業者とは、小規模事業者以外の事業者のことです。
個人事業主
(1)小規模事業
無条件で該当します
(2)中小企業者
日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の要件にあった最近1カ月とその後の2カ月を含めた3カ月間のうち、いずれか1カ月で売上高が20%以上マイナスとなっている
法人
(1)小規模事業者
日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の要件にあった最近1カ月とその後の2カ月を含めた3カ月間のうち、いずれか1カ月で売上高が15%以上マイナスとなっている
(2)中小企業者
日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の要件にあった最近1カ月とその後の2カ月を含めた3カ月間のうち、いずれか1カ月で売上高が20%以上マイナスとなっている
補てんの対象となる利息
繰り返しとなりますが、補てんの対象となる利息部分は、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」における、当初3年間の利率(3000万円以下の部分)0.4%~0.5%の利息部分です。
まとめ
この記事では、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の関係をまとめました。新型コロナウイルス感染症特別貸付は無利子融資という言葉が一人歩きしているようで誤解されている方が多いですが、決して無利子・無利息ではありません。
新型コロナウイルス感染症特別貸付の要件に該当し、かつ特別利子補給制度の要件にも該当した方が、日本政策金融公庫に支払う利息部分の補てんを受けることができる。そのため、「実質的に無利子となる」という考え方が正解です。
詳細を確認したいときは、ご自身の地域を管轄する日本政策金融公庫の支店に問い合わせてみましょう!
今回はここまで。
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