起業家に伝えたい大切なこと

新型コロナウイルス感染症特別貸付とは

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日本銀行

新型コロナウイルス感染症特別貸付とは

新型コロナウイルス感染症特別貸付とは、日本政策金融公庫の国民生活事業及び中小企業事業が実施している貸付制度です。現在、新型コロナウイルスが世界的に猛威をふるっており、世界のサプライチェーンの混乱や緊急事態宣言による外出自粛によって多くの事業者の業況が悪化しています。新型コロナウイルス感染症特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に業況悪化している事業者を対象としています。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは、政府が100%出資する政府系の金融機関です。民間の金融機関の補完を目的としており、新型コロナウイルス感染症特別貸付だけではなく、起業家向けの創業融資や災害などで経営に影響を受けた事業者を支援するセーフティネット融資などを行っています。民間の金融機関と比べて、低金利かつ審査に通りやすいと言われており、無担保で融資が受けられるのが特徴です。

日本政策金融公庫には「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3事業があり、それぞれ支援対象の事業者が異なります。ここからは新型コロナウイルス感染症特別貸付を提供している「国民生活事業」と「中小企業事業」について解説します。

国民生活事業(旧国民生活金融公庫)

国民生活事業は最も身近な金融機関として主に個人事業主、小規模事業者、フリーランスなどを対象に事業資金融資を行っています。そのため、平均の融資額も約700万円と低額で、後述する中小企業事業と比べると小規模となっています。また、事業性資金のほかに個人向けに教育資金なども提供しています。

中小企業事業

中小企業事業は中小企業や小規模事業者を対象に事業性資金を融資しています。日本の企業の99%は中小企業と言われており、中小企業はまさに日本経済の活力の源泉であり、地域の経済を支えています。中小企業事業はこれらの中小企業の資金繰りを支援することで地域経済の発展を目指しています。

国民生活事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付

本制度は新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に、売上の減少など業況悪化をきたしているが、中長期的には、その業況が回復し、かつ、発展することが見込まれる中小企業者を支援するものです。

融資対象

融資対象は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方であって、次の売上減少要件①または②のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復することが見込まれる事業者となっています。

ただし、本制度は融資制度ですので、日本政策金融公庫が事業者を審査します。審査基準に合っていても返済の見込みがない事業は融資を受けられない場合があるので注意がひつようです。

売上減少要件①

最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高が、前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方

売上減少要件②

業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合は、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が次のいずれかと比較して5%以上減少している方

資金使途

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金

融資限度額

融資限度額は8,000万円で無担保で借り入れができます。

返済条件

災害により被害を受けた方が利用できる災害貸付と同様に融資利率が低減され、返済期間も長期になっています。令和3年8月2日時点で基準金利は1.26〜1.65%となっています。ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率となります。したがって、最初の3年は実質的な金利負担がほとんどありません。

さらに、一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより、当初3年間が実質無利子となります。返済期間は設備資金と運転資金によって異なります。設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金15年以内(うち据置期間5年以内)です。

中小企業事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付

本制度は新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に、売上の減少など業況悪化をきたしていが、中長期的には、その業況が回復し、かつ、発展することが見込まれる中小企業者を支援するものです。

融資対象

最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期に比し5%以上減少しており、中長期的にみて業況が回復することが見込まれる事業者が対象です。

ただし、本制度は融資制度ですので、日本政策金融公庫が事業者を審査します。審査基準に合っていても返済の見込みがない事業は融資を受けられない場合があるので注意が必要です。

資金使途

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および長期運転資金

融資限度額

直接貸付6億円であり、無担保で借り入れできます。

返済条件

金利は基準金利となっています。
令和3年8月2日時点の貸付期間と基準金利は以下のとおりです。
5年以内~10年以内 1.11%
10年超~20年以内 1.12%~1.3%

また国民生活事業と同様、一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより、当初3年間が実質無利子となります。
返済期間は設備資金と運転資金によって異なっており、設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は15年以内(うち据置期間5年以内)となります。

日本公庫の既存融資を借換えることは可能か?

新型コロナウイルス感染症特別貸付により、既存融資を借換することは可能です。ただし、基本的に民間金融機関の借入金の借換えには利用できません。しかし、以下の要件を満たす「つなぎ融資」に対応する場合は、特別に民間金融機関の借換えに利用することができます

民間金融機関の既存融資を借換えできる要件は、①民間金融機関が「日本公庫の新型コロナ感染症対策関連の融資を受ける予定でいたが、その間のつなぎ融資と認識」しており、そのつなぎ融資として民間金融機関が融資を行ったことが確認できる、②前①で受けた融資の実行日が、新型コロナウイルスに関する経営相談窓口の設置日(令和2年1月29日) 以降である、となっています。

新型コロナウイルス感染症特別貸付の追加融資はできるか?

たとえ直近で新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用した方であっても、新型コロナウイルス感染症の影響によって資金繰りが悪化した場合は、追加融資の相談が可能です。

創業直後に、新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資対象になるか?

創業後3ヵ月未満の方は、新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資は利用できません。創業して間もない方向けの新規開業資金や女性、若者/シニア起業家支援資金など、日本政策金融公庫には他にも融資制度があるので、ぜひ検討しましょう。

まとめ

2020年に新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まって以降、今のところ収束の気配がありません。多くの事業者にとっては今後も厳しい経営環境が続くことが予想されます。アフターコロナにおいて持続的な成長を続けるためにもコロナ禍をなんとか乗り切る必要があります。

本制度は民間の金融機関の融資制度よりも使い勝手がいいので、国の制度をうまく使って資金繰りに目途をつけ、次の展開を見据えた事業戦略を打ち立てましょう。

今回はここまで。
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